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DATUMS 1991.10
レジャー白書'91を読む

黒須 宏志  財団法人日本交通公社

  「レジャー白書」は通産省の外郭団体である財団法人余暇開発センターが、1年間の国民の余暇活動全般についてまとめている「余暇の白書」である。
  同書は社会の余暇活動全般を対象とする、余暇開発センターの主要な2つのアンケート調査を基礎にして書かれている。一つは余暇活動を行う主体の側に対し過去1年間の余暇活動の実態を尋ねる「余暇活動に関する調査」であり、いまひとつは余暇関連サービスの提供側に対してその業界の景況、見通しなどを尋ねる「余暇関連産業経営動向調査」である。これらの調査では多様な余暇活動を「スポーツ」「趣味・創作」「娯楽」「観光・行楽」の4部門に類型化して扱っている。
  サービス供給側の分析では、「業界天気図」が「旅行業」「ホテル・旅館」などを含む主要15業種の景況の移り変わりをわかりやすくまとめており、また「観光・行楽」部門の業種として鉄道、貸し切りバス、旅館、ホテル、旅行業などの市場規模がまとめられている。ここでは個々の数字にとらわれず。データを時系列で見比べて部門や業種としての動向を把握することや、多様な余暇活動の中の一部門として「観光・行楽」市場の動きを他の部門の動きと比較してみることが重要だ。
  他方、余暇活動の主体側の分析では過去1年間に行った余暇活動について種類別、地域別、性・年令別に集計した結果が示されている。また特定のレジャー活動に対する「潜在需要」の割合やレジャー活動での消費額などの興味深いデータもある。この調査は昭和57年以降基本的に同一の枠組みで実施されてきたため、過去のデータとの単純な比較が可能である。これらの数値は、国内の余暇活動の需要がどのように推移してきたかを分析する上で、極めて重要なデータである。
  また一方では「観光・行楽」部門だけに目を奪われないよう気をつける必要があるだろう。スキーやテニスを目的とした旅行は、スポーツ部門の市場の動きと直接連動している。また都市観光や日帰り旅行は趣味・創作や娯楽部門と重なる部分がある。観光は、余暇の他の3部門すべてと密接に関連しているといえるだろう。「レジャー白書」は余暇活動全般を見渡す広い視点で読むことが必要なのである。

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