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DATUMS 1991.12
法人と個人景気がかい離する

安達 清治  トラベルレビュー編集長



  1991年は日本の旅行業・航空貨物産業にとって、中東湾岸戦争勃発と、バブル経済の崩壊に連なる証券不祥事に見られる国内景気の緩やかな減速という外環境の大きな変化が、オイルショック以来の打撃の年であった。
  1月17日未明に勃発した湾岸戦争は、CNNのライブ放送で世界同時に同一放送がもたらされた情報の均一化を象徴した出来事でもあった。旅行業では、海外旅行と国内旅行、外人旅行の各部門で打撃を受けた。僅か30日の出来事であったが、情報の均一化は、瞬時にして現場の状況が家庭内に再現される当世事情と、情報の恐ろしさを見せつけた。当然、安全第一主義の日本人は、旅行主体者の意志とは関係なく「周囲からの勧め」によって、旅行計画を延期または国内旅行へ振り返るという現象を露呈した。
  データ上では、1-3月をオンシーズンとする卒業旅行需要はゼロシーリングとなり、総出国者の動向でも2月のマイナス36.1%、3月同29.8%、4月同12.3%と急減した。しかし、当初の予想に反して7月から3ヶ月連続の単月100万人出国者となり、90年に続いて1000万人出国はほぼ確実なる見込みである。
  一方、航空貨物業では90年の貿易額(輸出41兆4600億円・輸入33兆8600億円)はそれぞれ前年比でプラス9.6%、同16.8%と高水準にある。内、航空貨物の取扱いは輸出6兆6900億円、輸入7兆7400億円と対前年で輸出プラス15.3%、輸入同23.7%と全貿易の高水準を上回る状況にある。湾岸戦争の勃発によって打撃を受け、保険料の引き上げ等による収益減少という事態を迎えたものの、輸出材のハイテク産業類の増加が予想され、小口貨物の取扱い増という要因もあり、外況は好調と見られる。
  今年の概況は、法人景気と個人景気がかい離する傾向が顕著化し、旅行業・航空貨物業にとって動向指標が見えにくくなった。つまり、好調な外環境への取り組みの見直しが必要となる。

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