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DATUMS 1991.04
バカンス法の制定に向けて

神田 俊男  労働情報センター事務局長

■かんだ としお


  当センターでは市民グループの協力を得て89年9月にバカンス法を草案し、制定の実現を世に問うた(この提言は、第一書林から出版されている『提言・バカンス先進国をめざして』にまとめられている)。その骨子はバカンスが現代人の基本的人権の一つであるとした「バカンス憲章」と、6日を超える連続した有給休暇を義務付けた「連続休暇(バカンス)基本法要綱」の二つの柱からなっている。
  バカンス法の議論の出発点は観光労連の観光政策プロジェクトで、「21世紀の観光旅行はどうあるべきか」というテーマで、「親子4人、1週間で10万円の旅」を実現するための具体的な方策を検討したことにある。議論の過程で、最大の阻害要因は、わが国の休日・自由時間の貧困さにあるとの認識に達した次第だ。そこで、観光政策を論じる前にわが国の社会的条件の整備が課題であり、自由時間の拡大を含めた余暇の充実を“バカンス先進国”という新たなコンセプトで提起した。
  生活の力点をどこに置くかという世論調査では、74年には「物質的な豊かさ」が42%だったのが、90年には心の豊かさが53%と逆転しており、国民の意識の底流が変わってきていることが裏付けられている。また、前川レポート以来、労働時間の短縮は政労使共通課題であり、「92年度年間総労働時間 1800時間」(政府目標)の実現が国際社会の一員として求められている。
  今問われているのは、“豊かな社会”(経済優先社会から生活優先社会への転換)の実現であり、私どもが提言したバカンス法は自由時間の拡大を軸に、その具体化を図るものだと自負している。21世紀に向けた社会目標として、“バカンス先進国”への道が早急に模索されるべきだろう。
  そのための第一歩としてバカンス法の制定と、余暇サービスの供給サイドとしての社会的役割として「親子4人、1週間で10万円の旅」の実現に向けた観光政策(例えばバカンス小切手制度)の具体化が課題だと当センターでは認識している。

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