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DATUMS 1991.05
「余暇の支援者」が必要なわけ

浅野 晃  財団法人日本レクレーション協会広報・出版センター

■あさの あきら


  4月25日、余暇生活開発士・余暇生活指導員養成の通信教育課程を開講した。受講者は700名を越えた。養成期間は開発士は1年、相談員は半年である。活動内容は、余暇に罪悪感を持つ人たちの意識変容を援助したり、余暇設計の方法を指導したり、個人に適した余暇活動を探すためのお手伝いをしたり、余暇情報を提供したり、余暇施設(リゾート、公共施設など)のマネージメント、さらには、企業や労働組合への余暇施策のコンサルティング、地方自治体への余暇行政の提言などである。この講座はいわば「余暇のアドバイス専門家」の養成をめざしている。89年7月にこの人材養成構想を公表し、以降準備を進め、この度の開講となった。
  このような人材の養成を開始することになった理由は、公表する2-3年前から社会が余暇充実の方向へ目を向けだしたこと、一方では余暇が増えたことによるさまざまな弊害(休日恐怖症、 粗大ゴミ、、帰宅拒否症など)が現れてきたからである。すなわち、「余暇時代」の到来とそれに伴う「余暇不全者」の現出だ。日本レク協会の設立(昭和23年)の目的には、国民の余暇の善用、文化生活の向上等がうたわれており、日本レク協会の社会的使命を全うしようとする認識と、多くの方に豊かで潤いのある生活を実現していただきたいという願いからである。折りしも89年は官公庁や各種団体から「ゆとり」「余暇」「時短」などのキーワードで余暇に関する提言や提案が多く発表され、幸いこの人材養成構想は時流に乗ることができた。中でもこの年の6月末発表された参議院国民生活に関する調査研究会報告で自由時間の計画的管理の普及・相談のための人材育成の必要性が提言されている。また、本誌の発行元であるレジャー・サービス産業労働情報開発センターあ「バカンス憲章」を発表されたのもこの年の9月であった。
  その後も“余暇ムード”が盛り上がり、「豊かさ」「ゆとり」「あそび」「OFF」などという言葉を使った書籍、雑誌、記事、放送、などが増えてきた。とはいえムード先行の傾向はいまだ拭いきれず、現実はなかなかといった状況である。余暇が現実の生活レベルまで浸透し、個人が余暇自立したときこそ「本格的な余暇時代の到来」といえると思う。それは“当たり前の状態”になった時である。そのときには余暇のニュース性は乏しくなりマスコミも今のように騒がなくなるだろう(それまでは大いにマスコミの啓蒙効果を発揮してほしい)。パラドキシカルにいえば、このような人材が要らない社会が早く到来することを望みたい。

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