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DATUMS 1991.06
2001年の余暇市場と旅行業

稲垣 勉  立教大学社会学部助教授

■いながき つとむ


○今後の余暇・レジャー
  労働時間の短縮が進み、余暇の拡大につれ、余暇市場も確実に拡大するであろう。レジャー行動も前もって周到に用意する形から、思い切って気軽に出かける「レジャーの日常化」の傾向を強める。当日雨が降っていたので中止するとか、混んでいるので別のところへ行くといった傾向である。また、毎年どこかへ出かけるという習慣化も進もう。
  消費の面ではサービス志向が一層進行する反面、根強いモノ志向がある。この結果、モノとサービスのボーダーレス化がすすみ、すべてのモノがレジャー化の傾向を強めていく。軽小で高性能なレジャー志向商品の開発などもレジャー市場に含めて考えておく必要がある。

○余暇・レジャー市場の変化と旅行業
  レジャー市場の日常化に対応して、日常・近郊型レジャーがレジャー市場の中で大きな割合を占めよう。旅行でも日常化がすすみ、急に思い立って出かける1泊2日程度の旅行、演劇を泊まりがけで見に行くというかたちの日常化された旅行需要が顕在化しよう。その中で旅行の目的と質が十分達せられるものにはお金をかける旅慣れた層と、目的地へ行くためだけに安価は旅行を志向する層に2極化することが予想される。
  また、レジャー全体は時間的消費の傾向を強めるものの、旅行自体はかならずしも長期バカンスを楽しむ形にはなりにくいと考える。旅行商品自体に金をかけるか、現地での消費に金をかけるのかの違いはあれ、所得消費的消費傾向が現象するとは考えがたい。逆に言えば、旅行全体への消費をいかに取り込めるかが、今後の旅行業の課題と言えるだろう。

○ニーズの多様化と情報戦略
  消費者の多様なニーズに対応するため、一定水準以上の商品設定を維持すると同時に、一方、消費者がテレビとか雑誌で得た断片的情報を具体的な旅行に結びつけられる「情報の組織化」や、自社の商品の行き先をメディアを通じてさりげなくマスニーズにまで価値を高めるなど新しい情報操作など新しい情報戦略が必要となろう。

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