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DATUMS 1991.06
「1800時間社会」への対応

高橋 均  観光・航空貨物産業労働組合連合会委員長

■たかはし ひとし


  「1800時間社会」は止めようのない社会の趨勢であり、時短に消極的な企業は必要な人材の確保も出来なくなる。時短は90年代の経営課題だ――という観光労連の91春闘における主張に、ようやく経営側も共通の認識を持ち始めたようだ。これから3−5年の間にどんな方法で1800時間に到達していくのか、そのプログラムづくりを急いでいるところである。
  とはいえ、1800時間に到達するためには、「ノルマを果たせなければ残業も当然」という時間当たりのコスト感覚のない現在の業界の経営体質を変えることが不可欠だ。そのためには、(1)値引き競争の抑制、(2)受け入れ機関との手数料や業務システムの改善、(3)消費者への宣伝と教育活動など業界構造にかかわる課題の解決は避けて通れない。
  端的に言えば、1800時間を前提にしてなおペイできる産業・企業にしていくしくみづくりの必要性だ。具体的な例を挙げてみよう。例えば各社のコンピュータに盛り込まれた旅行情報――その開発・メンテナンスのために各社各々毎年ウン億円もの金を注ぎ込んでいる。内容が同じものだけに共同してやればはるかに安いコストで済む筈だ。予約センターの隣にツアーキャンセルを客に連絡するセクションがある――これこそ長時間労働、低生産性の温床といえまいか。大手・中小を問わずホールセラーの看板を掲げる一般旅行業者、本当にこんなにホールセラーが必要なのだろうか。数社で協業すれば催行中止といった無駄は省ける。コンピュータやホールセラーの協業化など業界の再編が私たちの働きがいや産業の収益向上、そして何よりも時短につながるなら躊躇することなく進めてみよう。また、働き方に関して言えば、1800時間にするためなら、今までの全社員一律の労働時間や営業時間にこだわらず、それぞれの地域特性や営業形態に応じた個々人の働き方、働かせ方を優先させることを組合としても提言してもいいのではなかろうか。
  こうして1800時間の射程に入れた今、ようやく観光労連の解決すべき産業政策のテーマが浮かび上がってきたように思える。旧来の「我が社大事」思想を払拭して、私の働き方、私の時短を最優先にして、我が社、我が産業のありようを見つめ直すことが必要な時代だとつくづく思うこのごろである。

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