[BACK]
DATUMS 1991.07
海外調査団レポート:シンガポールのホテル産業

笠井 脩  ホテル労連・日本航空ホテル労働組合委員長

■かさい おさむ


  5月20日午前2時チャンギ空港に到着した一行は、滞在先のパン・パシフィック・ホテルへ。シンガポールの市街化再開発地域のマリーナ地区にあるこのホテルは35階建ての吹き抜け高層ホテルであるが、同地区にある73階建てのウェスティン・ホテルに比べるとそれほど高いという感じがしない。地震のないシンガポールは超高層ホテルのオンパレードである。
  さて、今回の視察の目玉はシャングリラとグッドウッドパーク。両ホテルとも日本人観光客に人気の高いホテルである。この2つのホテルに限った話ではないが、ツアー観光客用の部屋(もしくはフロアー、棟)と、一般客(主に欧米からのビジネス客)用の部屋を明確に区別している。特にシャングリラはその典型で、「バレーウィング」という一般客用の棟を別に設け、専用のロビー、エレベーターを配し、1つのホテルの中に別の超高級ホテルが存在しているといった感じである。客室の方はだいたい50−100平方メートル程度とかなり広いが、室料は東京より割安で円換算で45,000−75,000円位に設定されている。
  シンガポールのホテルで眼についた点は、建物から室内インテリアに至るまで、欧米人の手によりデザインされたものが多く、そのセンスには光るものがある。
  もう一つ気付いたのは、ちょっとしたセンスというかユーモアが見られることである。例えば我々の泊まったパン・パシフィックの朝食ビュッフェのコーヒーカップの底にイラストと気の利いた一言があったり、団体用の部屋にもキャンディーボックスがおかれていたりする。こうした余裕と遊びの感覚が日本のホテルに最も欠けている点かもしれない。
  ラッフルズが全面改装中なので市内唯一のクラシックホテルの感のあるグッドウッドパークでは、マーケティング・ディレクターのクラヴェン氏が自ら客室を案内してくださり、我々の質問に応えていただいた。このホテルも近年大きな改装を行い、ビジネス・センター等を設け、新しい大型ホテルに対抗して行くとのことであったが、何よりもクラヴェン氏の常に笑顔を絶やさぬ応対ぶりに余裕を感じさせられた。こうした余裕あるいは自信といったものが、ホテルを真の意味で「高級化」させるのではないかと思う。

[BACK]