[BACK]
DATUMS 1991.07
国際化の進展の中でのホテルの差別化戦略

鈴木 宏  長銀総合研究所主席研究員

■すずき ひろし


  国際化の進展が著しい。海外貿易比重は増大し、海外投資の活発化も顕著だ。国際金融マーケットでも東京は世界中心の地位を占めるなど、東京の世界都市化が進展している。国際化がわが国のshかいあへんかの潮流を象徴する主要トレンドとして位置付けられる。
  島国で単一民族国家であるわが国にとって、国境を越えて産業・消費行動・文化が交錯する「国際化」のインパクトには大きなものがある。
  このような変化の中で、流入する外国文化に対し受け入れ基盤となる日本文化をどう位置づけられるかが問題となる。ホテルは一国の文化を代表する位置づけを持つ。国際交流が活発化する中にあって日本文化の情緒性をどう鮮やかに捉え、ホテルの居住空間として具象化して再編するかが課題となる。
  ホテルは日頃の多忙な日常生活に見失われた豊饒な時を過ごす場でもある。風俗、習慣、美術工芸品等を含めた伝統文化への理解を基礎に、鋭い感性を込めた空間設計のシステム化が必要とされる。
  国際交流機能を担うホテルでは、ジャパネスク様式を演出技法として取り入れた積極的な空間表現が望まれるといえる。わが国のホテルは欧米文化への傾斜が強く、長く慣れ親しんできたが、ジャパネスクとの調和の工夫は、わが国を訪れる外国の人々のみならず、わが国の人々にとってもかえって斬新な印象をスタンプする可能性を持つ。
  アジア太平洋経済圏の比重増大が予想されている中で、アジア圏を代表する国際交流拠点の地位を占めているわが国の果たす役割は大きい。東南アジア全域と欧米との交流拠点としてエスニック料理、民族芸能、工芸品等異国文化に出会える場づくりが課題となってこよう。ジャパネスクとの調和は日本文化訴求の上で、ホテルにとり重要な差別化戦略としての役割を果たそう。

[BACK]