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DATUMS 1991.08
海外長期滞在型余暇のゆくえ――スペイン・カネ・デ・マール市

高橋 克宣  観光労連副院長



  カネ・デ・マールという地名を聞いても、果たしてどこの国なのか知っている人が何人いるだろうか。私たちも、当時乗ったバスの運転手が持っていた道路地図でようやく探し当てた次第で、そこが本当に訪問する町なのかどうか、不安なまま出発した。
  思ったとおり目的地は遠かった。週末の近郊バカンスからバルセロナ市内に戻るマイカーで首都高速道路並の渋滞に巻き込まれ着いたのは、陽も暮れかかる寸前…。
  カネ・デ・マールは通産省の諮問機関「海外滞在型余暇開発協議会」が進めているロングステイ・プランの候補地として注目されている。老後を海外で送ろうとする中高年のために海外に住まいと仕事の場を用意する計画で、ただ遊んで暮らすのではなく、経験や専門技術を生かして滞在先の地域開発、職業教育等を手助けするというもの。かつの「シルバー・コロンビア計画」が永住構想で年金で優雅な暮らしをめざしたの対して、こちらは1−3ヶ月の長期滞在でレジャーというより生き甲斐追求型。
  同市は人口1万2千人。繊維工業大学や訓練教育センターがある技術教育の町として知られ、産業学園都市構想を計画中。すでに、ロングステイ・プランの一環として日本語講座も開設されている。
  夜遅いのに道路では子どもが容器に遊び回っているし、大人はレストランでビール片手に大騒ぎ。バルセロナから40km、車で30分の近郊都市。周辺の町はリゾート・ホテルが建ち並び、バルセロナ五輪の際には一般観光客の宿泊先として脚光をあびている。
  ロングステイ・プランがリゾートと言えるかどうか疑問だが、日本人の余暇意識が単なる遊びよりも、仕事を通じた自己実現の方にウェイトがあるだけに、この試みが日本でどう評価されるか興味のあるところだ。

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