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DATUMS 1991.08
勤労者リゾートの可能性

寺田 一仁  日本旅行労働組合副委員長



  バブル経済の崩壊とともに、リゾート開発ブームもかげりだしたが、2、3年前は地方自治体、デベロッパー等の海外リゾート視察が盛んで、なかでもラングドックは、長期滞在型リゾートの成功事例として多くのミッションが訪れた。私たちが統治を訪れた際に、開発協会のミッシェル総取締役部長も「この頃は誰も来なくなりました」と一過性のわが国のリゾート・ブームに当惑顔。いずれにしろ遅ればせのラングドック詣でとなった。
  ラングドック・ルション沿岸地域では1963年の国家プロジェクトにより政府、地方自治体、民間レベルでのリゾート開発が計画的に進められ、現在、スペイン国境に至る200kmの海岸線に大小8つのリゾート基地が点在する。訪れる観光客の年々増加し、1986年には年間500万人を数えた(20%が外国人)。
  今回私たちが視察できたリゾートはピラミッド型の高層アパート(日本でいう分譲マンション)から構成される大規模リゾート、グランド・モットと既存住宅と調和させた中層アパートが特徴的なキャブ・ダクト、バルブルース塔が古い街の中心に立つグリュイサンの3ヶ所だった。いずれも海岸沿いに位置し、ヨットハーバーが備わっている。
  このリゾートでは家族用賃貸アパートで1週間3−6万円の費用ですみ、観光労連が提唱する「親子4人、1週間で10万円の旅」が実現可能となる。公共部門主導型の開発による地価凍結と用地の先買いが低廉な宿泊施設の提供を可能にした次第だ。もっともラングドックは利用者層を勤労者だけに限定しているわけではなく、所得階層に応じた多様な施設をもっており、現にヨットの購入価格は平均で100万フラン(約2500万円)で、平均的な勤労者が休日にヨットを楽しむことは困難なようだ。
  ラングドックのもう一つの特色は地域活性化で、開発前は潟と沼地で蚊の多い無人地域が広がり、ブドウ栽培しか産業のない後進地域だったが、リゾート開発に伴う国家投資により水道、電気、道路が整備され、予定を上回る雇用を創出している。
  さてこうしたリゾートの開発が日本で可能だろうか。リゾート法は民間の土地取得を容易にしただけで、地方の土地高騰の要因となった。問われるのは、余暇拡大を提唱するのみで哲学をもたない行政にあるのでは。

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