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DATUMS 1991.09
ブームを呼ぶ真空調理法

秋山 登志夫  オフィス・ジェイ・ワン代表取締役

■あきやま としお

  レストラン、なかでも一度に大量に調理するホテルや給食施設では「真空調理法」が静かな話題、ブームを呼んでいる。真空調理法は第四の調理法とも謳われ、その美味しさとともに、人手不足を解消する「コックレスキッチン」(CK)の面からも注目されている。まさに「21世紀の調理法」といえる。
  ではいったい「真空調理法」とはいかなるものであろうか。その基本プロセスは、食材を下拵えして調味料を加えて真空パックし、低温で長時間加熱した後、冷却保存したものである。
  真空調理法の創始者ジャルジュ・プラリュは、タンパク質凝固や分水作用など調理の特質と各素材の細かなデータに基づき、それぞれの料理が最も美味しく仕上がるための温度と時間に着目した。厳密な温度操作、時間設定によって、美味しさの追求とともに細菌のコントロールを行っている。
  「真空調理」食材を、料理の提供にあわせて冷蔵庫から取り出して、電子レンジもしくは、湯煎で再加熱して、封を切って盛りつける。厨房での作業が大幅に制限できる上、一時の大量の注文にも即座に対応できる。いかにも冷凍ものというような貧弱な料理ではなく、本格的なフランス料理と遜色のない、あるいはそれを超える料理が得られるのである。
  真空調理法は、高額な機器がいるわけでもなく、「調理の科学」と表現した方が良いのではないだろうか。少し大きな厨房があればできるし、CKで作ることもあり、素材や調味料、下拵えは厳密に行わなければならない。
  真空調理法のメリットは、(1)真空パックにより食材そのもののうま味や風味を維持できる。(2)調味料の浸透がよく、均等な仕上がりになる。(3)保存がきく(レストランで7日以内)(4)厨房作業の簡素化、提供時間のスピードアップ、大量提供が可能、ということである。
  外食産業の地価高騰や労働力不足に対する答えの一つに「真空調理法」があり、これからの展開が大いに期待されている。

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