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DATUMS 1991.09
和食回帰が始まった

茂木 信太郎  立教大学社会学部講師

■もぎ しんたろう

  高度成長期以降1970年代のある時期まで、食のトレンドは洋風化だと言われていた。1970年代の末頃から1980年代にかけて、グルメ旋風が吹き荒れた。そして今、時代は完全にグルメブームからヘルシーブームへと転換したと言われている。1970年代は、外食産業の揺らん期であり、ファミリーレストランやファーストフードなどのハンバーガー、フライドチキンなどの洋風メニューが売り物であった。外食産業の急成長は食の洋風化の波に乗ったためだとも言われた。
  1980年代に入ると本物志向がいわれだし、グルメブームが起こるとともに、エスニック料理なども大いにもてはやされるところとなった。ところが、昨今では、グルメブームが鳴りを潜め、ヘルシーブームが前面に出てきた。このヘルシーブームを底流として、食の和食化、和風ブーム、和食回帰といわれる現象が進んでいる。
  ファミリーレストランでも雑炊や和風ハンバーグが売れ筋メニューの上位を飾り、新規メニューも和食の御膳ものや海鮮丼といったものが多い。ファーストフードでも、和風風味を謳うテリヤキハンバーグが主力メニューとなっている。専門店でもこってりした味付けのフランス料理店は後退して、日本料理に近いイタリア料理店が人気を呼んでいる。
  食の洋風化では、高カロリー、高タンパク質が求められたのであるが、今や脱高カロリー、脱高タンパク質が目指されているのである。これは先進資本主義国に、ある程度共通した食のトレンドで、成人病などの蔓延に対する社会的な反省という意味がある。かくして我が国では、ヘルシーブームを底流とする和食回帰が始まったのであるが、加えて人口の高齢化現象という理由も大きい。かの団塊の世代の年令も40歳を超えた。今後中高年層の増加と相まって、和食化の波はさらに深く広がっていくことになろう。

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