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DATUMS 1992.10
「障害者にやさしい北海道観光」をめざして

千葉 稔  北海道レジャー・サービス労連議長

■ちば みのる


  ホテル労連北海道支部と観光労連北海道地連が中心となり昨年2月に結成した「北海道レジャー・サービス労連」の2期目の具体的な活動として、ちょうど今年が「国際障害者年」の最終年ということもあり、また北海道の観光政策の一つである「障害者にやさしい北海道観光」に関わる一歩として、8月4日から2泊3日の日程で「障害者モニターツアー」を実施しました。
  今回は、障害者の中でも“車イス”の方を対象にして、札幌周辺の障害者グループに呼びかけたところ、12名の障害者をはじめ介助者、看護婦、ボランティアを含む総勢31名の参加を得て実施することになりました。
  ツアー実施にあたっては、事前に各観光スポット、下車場所等を詳細に下見したのはもちろん、関係機関にも様々な形での協力をお願いしてきました。特に、登別プリンスホテルには、館と館を結ぶ通路にスロープの設置をお願いしたところ、ツアーの当日には立派なスロープが完成しており、移動にも大変役立ちました。また、マスコミ各社から多数の取材を受け、道内のテレビ等でも大きく報じられました。
  さて、洞爺湖の湖上遊覧、温泉への入浴、テーマ・パーク見学など、予定通りツアーを進めたわけですが、健常者のツアーと大きく違う点は、バス・遊覧船等の乗降、トイレ休憩、温泉への入浴等の時間配分にかなり余裕を持たせたことです。さらに、大浴場が楽に利用できるように、台車を5台制作しました。
  また、実際にツアーで利用しながらアック施設の現状確認も併せて行ってきましたが、やはり気になったのは、障害者用トイレが少なく、団体での利用にはかなりの時間が必要なことやその使い勝手の悪さ。とりわけ、ホテルには障害者用トイレが一つもありませんでした。テーマ・パークは二つとも最近完成したばかりのもので、スロープの設置等、障害者への配慮はかなりされており、ほぼ問題なく利用できましたが、一部、観覧席への入場は人的サポートに頼らざるを得ないというのが現状でした。
  これに対して、今回参加された障害者の方々からは、「トイレや温泉などで特別な専用施設は要らない。ちょっと広めのトイレや、湯船に手すり等を付けてもらうなど、健常者との兼用が可能なものを作って欲しい。」という意見が出されました。
  施設の改修や新設などハード面が改善されたとしても、一番大切なことは、健常者としての障害者への思いやりとちょっとした手助けであり、それさえあれば大体の問題が克服できるのだということが、今回のツアーで強く印象づけられました。これからも、こうした取り組みを通して関係諸機関に働きかけていくだけでなく、一人でも多くの理解者得られるようなアピールをしていきたいと考えています。その手始めに、今回の経験を基に「障害者にやさしい北海道」についてのシンポジウムを10月に開催し、何らかの提言をまとめる予定です。
  最後に、ツアー実施にあたりご協力いただいた札幌緑愛病院の看護婦さん、3名のボランティアをはじめとする多くの方々、そして、その収益でツアー経費の一部を賄うことを目的に販売した「穂別メロン」を購入していただいた皆さんに、この場を借りて御礼を申し上げます。

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