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DATUMS 1992.04
OLのあそび〜若いOLの生活意識

神 ひとみ  マーケティングディレクター



  1960年代から70年代にかけて生まれたOLたちは、マクドナルドのハンバーガーと電子レンジで温める料理とスピルバーグの映画で育った、男女平等世代である。子供時代はテレビっ子であり、バイブル、アンアンとJJとぴあを読み、ピアノを弾き、英語教室に通い、“リカちゃんハウス”が将来の自分の城だと信じた。そのような彼女たちは、自分らしく生きるいい女であるために、いつも生き生きとしていること、見聞を深めて知識を持つこと、自分の個性を他人に認めてもらうことが大事だと考えている。だから、彼女たちにとっての理想の生活とは、そうしたことが具現化できる“あそびのある人生”なのである。
  OLたちは、意味不明な男性上位の仕事以外にイロイロな楽しみのある会社生活をあそび、機のあった女性社会人サークルとしてのお茶、お華のお稽古やフィットネスクラブやゴルフやカラオケやお見合いパーティーをあそび、外国でお金を使うことが快感だからパリやニューヨークでのショッピングやハワイやバリ島でのリゾートラバーハンティングをあそび、男の子も女の子も一緒に楽しめる温泉スキーツアーや南の島のダイビングツアーを遊び、別にステディでなくてもカップルなら当たり前だから、西麻布のイタリアンレストランやインターコンチネンタルホテルのクリスマスイブや伊豆の格式ある懐石日本旅館での週末をあそんでいる。
  そうした後で決まって起こるのが、「私このままじゃ嫌。こんな所にいたくない」というOL生活拒否反応である。そうして、“あそびのある人生”の延長上で、“デザインの勉強をしにフィレンツェへ”とか、“英語をマスターしたいので西海岸の語学学校へ”などと言って、突然退職したり、言うがままのだけの恋人にお別れを宣言したりしてしまう。しかもそれは、実はたいした理由からでない場合が多いのだ。
  OLたちはなぜこのように突然生活を変化させるのか。それは、“あそびのある人生”を求めるが故に、理想とする生活環境との距離感、生活の皮膚感覚と現実のそれがまるで合っていないことに気付き、しかも現実の環境は変わらず、さらに自分をうまくマネジメントしきれないために、いきどころのない上昇志向が突然爆発してしまうからだ。それゆにOLたちは、“あそびのある人生”を求めて彷徨い出すである。こんなにあそんでいるのに。
  しかしそうした経験を経てOLたちは、自分のマインドやストレスのマネジメント方法を覚え、それを楽しむことを覚えていく。エステティックサロンでの全身マッサージや、見知らぬ男性とどんな会話も自由にできる深夜のQ2や、自分の深層心理をときほぐしてくれる新興宗教や占いなどで、自分のエネルギーをコントロールすることをあそぶのである。社会にあるいろいろな文化をあそぶ柔軟なOLたちは、自分の距離感、皮膚感に合ったレジャーやサービスを、あそびたい生活環境として選んでいるのである。

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