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DATUMS 1992.05
沖縄のリゾート開発と自然保護

池宮城 紀夫  弁護士、新石垣空港建設阻止弁護団団長



  本年5月15日で、沖縄が日本へ復帰して満20年になる。この20年で、沖縄の開発によって自然環境がどのように変貌してしまったか報告してみたい。
  10年前、日本弁護士連合会は復帰10年の沖縄を総点検し、「沖縄白書」を公刊した。私も執筆者の一人として環境の状況を次のとおり書いた。
  「青い空と紺碧の海、目にしみる白砂と波間に見え隠れするサンゴ礁、白く縁取られた赤瓦の屋根と色あざやかな南国の花など、すぐれた自然の景観が沖縄の観光の目玉となって、近時年間200万人近くの観光客が来島し、沖縄の地域経済を支えるまでになっている。(中略)
  しかし、沖縄のすばらしい海も、本島ではこの10年で汚染が進み、美しい白砂の浜が赤土に覆われるなど、変貌の跡が著しい。このまま放置しておくと、沖縄の自然は重要な観光資源としての価値を失い、醜状をあらわにした無惨な姿に変わり果ててしまう危機に直面している。(中略)
  この10年間でこれほどまでに海を変貌させてしまった原因は何なのか。それは、工業誘致の名のもとに、自然環境の保全をムシした埋め立て工事であり、海に対する影響を考えずに押し進められた農業基盤整備事業によってもたらされた赤土流出であり、山林原野の植生破壊を歯牙にもかけない、米軍による傍若無人な実弾射撃演習や戦車等による野戦演習であった」。
  10年前の我々の警告によって、改善されたか? 答えは否である。状況はますます悪化している。
  今や観光客は300万人を突破し、「総合保養地整備法」(いわゆるリゾート法)の後押しで、沖縄全体がリゾート開発のターゲットにされ、自然破壊はとどまることを知らない。加えて、米ソ対立の解消による軍縮の状況の中で、基地オキナワだけはあいも変わらぬ米軍演習による環境破壊。
  10年前から、沖縄本島北部の西海岸を中心に、大型リゾートホテルが次々に進出し、無計画に受け入れた恩納村が、今ではその失敗に目覚め、規制条例を制定したが、時すでに遅しである。集中豪雨的なリゾート進出のため、村内の地価は狂乱的に上昇し、次男、三男が独立のため宅地を求めようにも不可能になってしまった。
  「村財政への貢献」などとの進出時の企業側の甘言も虚像でしかなく、今や、リゾート施設からの排出ゴミが村内の48%、1日の上水道給水量の約半分を占め、その対応費が村財政を圧迫している。
  離島に目を向けると、東京直結のための「新石垣空港」を建設せよ、と東京の運輸利権族と地元土建業者が直結している。地元白保住民は、世界一といわれるサンゴの海を守れと、10年前から闘っており、計画そのものが振り出しに戻っている。
  孤立の中で環境破壊に抗して闘ってきた私たちの運動も、今では県民世論となってきていることが、せめてもの救いである。

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