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DATUMS 1992.06
大規模イベントのゆくえ

須川 一幸  (株)コニー・代表取締役

■すがわ かずゆき
 1973年西南学院大学卒業。市町村の総合計画、観光振興計画、商店街活性化計画などに携わる一方、地域振興イベントや企業の販売促進イベントを多く手がけている。最近では、健康長寿・シルバー&グリーン計画などを企画。主な著書に、『イベント企画立て方』(日本能率協会)、イベント『戦略データファイル』(第一法規)などがある。


  日本における博覧会など大規模イベントの歴史は、明治の文明開化時代に遡る。国内では多数の勧業博覧会が開催され、海外の万国博覧会にも積極的に出展した。新しい発見や発明、特に産業の分野での目覚ましい進歩がモノという形に表現され、モノの魅力で集客され、モノ情報として受発信された時代と言える。
  戦後は、学術、芸術、スポーツなどのイベントが盛んになるが、スポーツイベントの頂点を迎えた東京オリンピック以降、大阪で開催された万博をきっかけに第1次イベントの時代がはじまる。
  さらに、道路建設などの公共投資を誘発し、また公共投資の促進を図る手段として地方博覧会の効果に注目が集まった。昭和56年の神戸ポートピアに代表される地方博ブームである。おりしも昭和64年に市制施行100周年を迎えた38市を中心に活発に周年事業が展開された。
  イベント会場内や、関連施設の整備、周辺道路の整備、交通体系の見直しなど公共事業による経済活性化だけでなく、地域産業の振興や企業出展による経済的波及効果、地域のイメージアップや地元住民の連帯意識高揚、文化水準向上、都市環境・生活環境の改善など相乗効果も見逃せないのが大規模イベントの役割である。
  このような大規模イベント=都市政策の花形という単純発想はマンネリ化と表裏一体の関係にあり、スポーツイベントの国体、文化の祭典・国民文化祭、食と緑の博覧会、都市緑化フェア、ジャパンエクスポなどが時代の変化に合致した形に進化しようとしている。企画化、大規模化、大衆化の下での「規模の利益」(スケールメリット)追求の時代から、脱規模化、多様化、分衆化という来場者願望の変化への課程の中で「範囲の利益」をもおtめる時代へ移りつつあり、人々の意識も『新たな生活文化の創造』に向かって、モノの豊かさから心の豊かさへ、自己実現欲求の高まりを志向しており、当然大規模イベントもこのような時代の潮流に沿った展開が求められている。
  したがって、住民のニーズに基づき、十分な準備期間と住民参加(住民がつくる)で、「参加性」「地域性」「文化性」「創造性」「発展性」を必要条件とし、「娯楽性」「国際性」「個性」のある、『地域の生活文化の創造と向上』を目指したイベントが計画され、今までのように博覧会の専門家に任せるだけでなく、地域の異業種のワークショップも参画することが大切である。
  イベントは参加型のマスメディアと言われるように、メディアの多様化の時代になり、情報の生産・消費の中核となり、マスメディアだけでなく流通をも巻き込んだメディアミックスの中心的コミュニケーション手段となっていく。そのような時代に、大規模イベントは官学産民一体となって「社会環境の変化に対応した戦略の確立」を図ることにより、さらに社会的ニーズに応えていくことになると考えられる。



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