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DATUMS 1992.07
余暇社会到来の条件

吉川 薫  (財)連合総合生活開発研究所主任研究員

■よしかわ かおる
 京都大学経済学部卒、1972年経済企画庁入庁。ケイ座研究所国民経済計算調査室長を経て、90年より(財)連合総研主任研究員として出向中。


《まず必要な「時短」》
  わが国の統計からみた総実労働時間は91年度(毎月勤労統計速報)でも年間2006時間となお2000時間を超えてろい、「時短」先進国ドイツ(旧西ドイツ地域)、フランスの1600時間程度に比べて400時間も長い。こうした労働時間の長さは生活時間の構造とりわけ余暇生活に大きな影響を与えている。
  1990年に(財)連合総合生活開発研究所が実施した「5ヶ国生活時間調査」でドイツ、フランスと日本の勤労者の生活時間構造を比較してみたい。

(1)まず、日本の場合、平日の労働関連時間(労働時間に通勤時間を加えたもの)は12時間に及び、ドイツ、フランスより2時間半程度も長い。そのため、平日の余暇時間は短く、ほとんど「新聞、雑誌、テレビなど」にあてられている。これに対し、ドイツ、フランスではより長い余暇時間を利用して平日でも「趣味・娯楽・スポーツ」「家族的な交際など私的な交際」など、より多様な余暇を過ごしている。
(2)また、休日の生活時間構造の特徴として、日本では平日労働関連時間が長いためか、旧jちうにまとめて余暇・交際時間をとっているが、余暇の中身は「新聞、雑誌、テレビなど」が長く、「ごろ寝でテレビ」といった姿がみてとれる。また、ドイツ、フランスではほとんどみられない「仕事の相手・職場の同僚との交際」が日本では散見されるのは「付き合いゴルフ」の類があるためだろう。
(3)年次有給休暇の付与日数、取得日数、連続休暇日数の相違も大きく、年次有給休暇の取得日数はドイツ、フランスがそれぞれ25日、27日なのに対し日本は10日程度、連続休暇日数はドイツ、フランスが17日、21日なのに対し、日本は4日でしかない。

  このように、日本は長時間労働のなかで、生活時間構造のうえからも「仕事中心」の会社人間的生活が浮かび上がっており、余暇社会というにはほど遠い。
  余暇社会到来のためには「時短」をきかっけにこうした過度に会社中心的な生活を改め、より人間らしい生活リズムを取り戻すことがまず必要であろう。

《余暇生活の基礎づくりを》
  次に、必要なものは余暇活動のハード、ソフト両面からの基盤整備であろう。
  日本の場合、短い連続休暇の取得時期が盆、正月、ゴールデンウィークに集中することもあり、混雑と高価格で、充実した余暇活動が妨げられている。
  年次有給休暇の計画的な完全取得を進めることによって時期の分散を図る一方、手軽で安価なスポーツ・文化・教養施設、宿泊施設の充実が求められる。
  また、ソフト面では地域単位での趣味やボランティア活動のサークルづくり、指導者の育成、情報網の整備を通じたネットワークづくり等が重要であろう。

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