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DATUMS 1992.08
地方空港と今後の国際航空貨物輸送

林 克彦  (株)日通総合研究所研究員

■はやし かつひこ
 1959年生まれ。1984年東京工業大学大学院修士課程修了、(株)日通総合研究所入社。現在、同社経営研究部国際物流研究室研究員。物流構造の分析、航空貨物関連調査、諸害湖kの物流事情等の研究に従事している。


  近年、地方空港の国際航空貨物基地構想が注目を集めている。なかでも日本の北のゲートウェイ(玄関口)を目指す新千歳空港では貨物チャーター便の運航や北米貨物路線(名古屋→札幌→アンカレジ→ニューヨーク)の開設など、他の地方空港に先んじた展開が行われている。
  こうした動きの背景には、地方の国際化、活性化において空港が果たす重要な役割が認識され始めたことがある。実際、旅客輸送の面では、地方空港の国際化が著しく、チャーター便の実施、さらには東南アジアを中心とする定期航空路線の開設が急ピッチで進められている。
  旅客便が就航すると、航空機の下部貨物室を利用して貨物が輸送されるようになる。地方と海外が直接結ばれると、人の交流とともに物も流れ始めるのである。そして、こうした流れを活性化するために、貨物量と内容に対応した貨物取扱い施設やC・I・Q(通関、入国審査、検疫)体制が求められるようになるのである。
  地方空港の活用は、日本の航空貨物輸送の特徴である新東京国際空港への一極集中を是正するうえでも有効である。これまで急拡大を続けてきた国際航空貨物の大部分は新東京国際(成田)空港で取り扱われているが、同空港の貨物施設取扱量は現在ほぼ取扱能力の限界に近い水準に達しており、通関等輸出入手続きの長時間化など空港貨物施設の混雑現象が生じている。
  航空貨物のセールスポイントは迅速性にあるが、空港施設での滞留によって、その特徴が十分生かせない場合も生じている。空港貨物施設、とくに輸入施設の狭隘化は、輸入拡大を阻む構造障壁のひとつとして日米構造協議で指摘されており、早急な改善が求められている。その一つの方策として、地方空港の活用が期待されているのである。
  さて、最近になって地方空港の航空貨物基地構想は厳しい局面を迎えている。景気後退期を迎え、航空貨物需要が減速しているためである。現在のところ限界供給者的な立場にある地方空港は、計画の見直しなど大きな影響を受けている。
  しかし、今後、輸送需要は、景気回復によって再び拡大基調に戻る可能性が高い。今後の空港整備の指針となる第6次空港整備計画においても、2000年度には、1990年度の1.96倍に相当する310万トンもの国際航空貨物が日本の空港に発着すると予想している。こうしてみると、航空貨物輸送は長期的に大きなポテンシャルをもった産業ということができる。そして、地方空港にとって、こうした停滞期にこそ、長期的なグランドデザインに則った自助努力による整備構想が試されるといえるのではないだろうか。

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