[BACK]
DATUMS 1992.09
行ってみたい日本の土地

渡辺 久哲  TBS調査資料局

■わたなべ ひさのり
 1983年東京大学文学部社会心理学科卒。1985年東京大学大学院社会心理学専修課程修了。1985年TBS入社。現在調査部勤務で視聴者調査、ライフスタイル調査を担当。


  この夏、いかがお過ごしですか。ポストバブルも関係なく、あいかわらずイケイケの海外という手合いもいましたが、「今年あたりは国内で」と考えた人も多いようです。
  [図1]はJNNデータバンク全国調査で調べた「行ってみたい国内観光地」のベスト10です。この調査は全国の13歳以上60歳未満の一般男女が対象。その全体平均値でみたランキングがこれです。
  沖縄や北海道に人気が集中していますが、対象者の地域別にみると、細長い日本、やはり来たに住む人は南へ、南に住む人は北への旅行を好む傾向があるようです。その他、軽井沢、長崎、函館、横浜などは、白樺の並木、洋風別荘、オランダ坂、瀟洒な洋館、港といった、いずれも異国情緒をたたえた地域であり、これが魅力のポイントになっていると思われます。そして、このランク順で東京は第15位に甘んじています。
  しかし[図2][図3]をご覧下さい。[図2]は10代女性、[図3]は10代男性に対象をしぼって、同様に人気ベスト10を見たものです。ここで両者ともいきなり「東京」が上位に来ていることに気付きます。具体的には渋谷であり、原宿であり、六本木であり、秋葉原なのでしょうが、それらを総合した「東京」という街が若者たちにとって大変な魅力であることがわかります。
  米国から日本の大学に留学中のA君の話ですが、彼の印象では新宿都庁付近の高層ビルや丸の内のビジネスマン・OLの早歩きが圧巻で、これと信州など地方都市のゆっくり流れる落ち着いた日本的(?)時間とのギャップがどうも信じられないということです。「本当の日本はどこにあるの」というわけです。しかし、考えてみれば、我々日本人にとっても、今や「東京」は一つの「異国」なのかもしれません。
  今日も、原宿には修学旅行の中高生グループが、ある種の“熟知した眼差し”で街歩きをしています。彼ら、彼女らには、かってのお上りさんにあったような東京に対する好奇や驚異の表情はありません。これは「トーキョーウォーカー」「ぴあ」などのシティマガジンで、案医を見るべきかをすでに知っているためでしょう。そして、マニュアルを通して見る以上、原宿も青山もニューヨークやパリと同様、安心してそれなりの「異国情緒」を味わえるという仕組みです。
  また、地方のOL向きに「東京フライデー」というパックがあったと思います。六本木の夜、トレンディスポットで遊び、話題の人気ホテルに一泊して帰るというあれも、金曜の夜から日曜まで東京の異国をめいっぱい遊びたいというギャルのニーズにストレートに答えたものでしょう。
  東京ディズニーランド、ベイブリッジ、ジュリアナ東京…。「異国情緒」を放つ装置を数々揃えて、ヤングを惹きつける東京の魅力はこの夏もますますパワーアップしたようです。

[BACK]