[BACK]
DATUMS 1993.01
外食産業1993年の課題と展望

茂木 信太郎  フードシステム総合研究所調査部長

■もぎ しんたろう
 1948年生まれ。早稲田大学社会化学部及び法政大学大学院経済専攻修士課程修了。(財)外食産業総合調査研究センター主任研究員等を経て、現職に至る。立教大学社会学部非常勤講師。


■ディスカウントメニュー政策
  出口の見えない消費不況のなかで、外食産業も苦戦を強いられている企業が多い。
  いわゆるバブルの時代に多くの外食チェーン店では、高騰する地代・家賃と人件費(パート時給)に耐えかねて、来店顧客の客単価を上げるメニュー政策を採用した。結果、客単価の上昇は目論見通り実現され、店舗売上高も伸びたが、この頃より来店客数の漸減傾向が生じ、やがて昨1992年に至って、バブルの崩壊とともに客数減少傾向が著しくなった。
  外食店舗の消費者に対する魅力度は最終的には客数によって計測される。来店客数の回復と増加基調への転換を図ることが大手外食企業の当面の最優先課題であり、そのために各企業は、メニュー政策の全面的な見直しに入り、一部メニューの値下げ、値頃感のあるメニューの開発、メニュー単価の高いものをカットし、中低位のラインアップを増やす、ボリュームをアップする、等々の政策を1992年の秋から採用し始めた。
  これらディスカウント作戦は消費者からも好意的に受け止められ、客数減少傾向に一応の歯止めがかけられた。
  今年、更に消費の実質化志向を強めていく消費者に、より基本的な外食メニューづくりを奨めていかなければならない。

■積極的な店舗展開
  今年、大手外食チェーン企業では積極的な店舗増設計画を掲げるところが多い。企業収益は1992年度かなり悪化したが、かといって店舗増設=設備投資を渋ることはできない。
  というのも、バブルの時代に地価と人件費の高騰に禍いされて新規出店が思うに任せなかったという経緯があり、いわばこのときの繰り延べ需要も嵩んでいる状況にあるからである。
  逆に、地価の値下がりと労働力市場条件の緩和というのは、外食店舗の新規出店をしやすくする好材料として機能してるわけである。今年の各社の店舗新規出店意欲は存外大きい。

■内食・外食(CVS=コンビニエンスストア)との対抗
  消費不況ゆえ、店舗売上高との俄かな上昇は期待できないのであるから、売上高が増えなくても企業採算がとれるような店舗オペレーションノウハウを新たに創っていかなければならない。
  各社とも合い言葉は、リストラクチャリング(贅肉落としの組織再編)とローコストオペレーションの確立である。当面は、無駄な経費や業態実験などは手控えられ、あわせて、厨房の配置や能力などを含む店舗オペレーションの全面的な見直しを実施していこうというわけである。
  が、他方で、内食や外食(CVS)との競合に対して、外食産業固有のメニューの美味しさを訴求する技術革新への取り組みも重要な課題となっている。

[BACK]