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DATUMS 1993.01
厳しさの続く観光地旅館の経営環境

柳川 義晴  (株)レジャー産業研究所専務取締役

■やながわ よしはる


■宿泊需要は伸びず、稼働率は2年続きの低迷か
  昨年は都市ホテルも観光地旅館も需要の落ち込みで苦しい年となった。特に不況の影響で、法人・団体の宿泊需要が減少し、宴会・飲食需要も伸びず、稼働率は軒並み前年同月比を下回る結果となった。
  こうした景気状況下で、1993年も当面好転するきざしは見通されていないわけで、2年続きの稼働率低迷が予測されるところである。
  すでに昨年にはその傾向がでてきているが、宿泊旅行は堅実型が中心となり、安い、近い、短いといった「安・近・短」旅行が、海外旅行に限らず、国内においても増加することになろう。
  ハイシーズンのピークの一時集中期を避けたり、予約が遅くなってきたり、あるいは宿泊施設内での館内消費が控えめになるなど、旅行する人々の賢明さが定着してくる年になる可能性がある。
  しかし、旅行そのものは非日常性を追求するものであるから、日常生活が豊かになった今日では、宿泊先での基本的サービスや、清潔さ、快適さ、安全性についてはますます高いものが求められていくことになろう。
  そうした状況下で、日本の宿泊産業の全体的傾向は、ホテルの増加、旅館の減少が今年も進むものと思われる。なかでも、中小旅館の転廃業が進む可能性が高い。

■旅館の経営内部問題の悩みが浮き彫りに
  観光地旅館のさし迫った問題は、人出不足・人材不足、高齢化、労働時間短縮化に集約されるが、これらは相互に関連しあっている。
  若年従業員の採用難、定着性の悪さは、従業員の高齢化を決定づけている。労働基準法改正による労働時間短縮も、旅館業としては休日増によって実現化する傾向が強いが、舵機簿旅館にはでてきても、少人数の小規模旅館では、サービス低下あるいは代替要員確保のコストアップが避けられず、休日増も実現しているところは少ない。
  いずれにしても、パート・臨時従業員による補完が現実問題となるし、業務の一部外注化も進んでいる。こうした対応は、今年もさらに進んでいくと思われるが、中小旅館にとってはますます厳しい状況下におかれることになる。
  今年は、旅館業界の厳しい経営環境を直視して、サービスの見直し、日常の作業の見直しを検討し、諸々の作業環境や作業の軽減化の具体策づくりが求められよう。
  高齢者活用やパート従業員活用のためには、作業法法の改善や軽減が重要だからである。特に料理提供に関わる搬送、洗浄、器の格納等は、省力化を考慮しながら作業効率を上げる方法を具体化しないと、サービス低下、商品力低下、さらに勤労意欲低下につながっていく危険がある。こうした点に関心が高まる年となろう。

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