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DATUMS 1993.02
<占いビジネス> 占いセンターの明るい繁盛

山下 嘉範  株式会社天秤座代表取締役

■やました よしのり
 1983年香川県生まれ。1961年同志社大学法学部卒業。商社勤務後、脱サラ、経営コンサルタントとして独立。1982年から神戸で日本最大の占いセンター「占いの街」をプロデュース。著書に『占い最前線』など。


  「ジェム占いの街」が港町神戸にうぶ声をあげて早10年。今でこそ「占い館」とか、「占いショップ」などと呼ばれ、それなりに市民権を得てきたこの業界も、当時は暗い路地裏でローソクの燈りを頼りに酔客相手に手相を観るか、不気味な因縁話で法外な祈祷料をふんだくるマイナーなイメージが伴う得体の知れない商売だった。
  そんなとき、駅から至近距離のファッションビルのワンフロアーすべてを借り受け、自動販売機を使ったチケット制を導入し、明朗会計をウリにスタートした当館は珍しさも手伝って、あれよあれよと言う間に、その名は全国に広がっていった。
  しかし、製造、販売業とちがって、占い師が列を作る客を前に、ノドを枯らして占っても1日精々20〜30人前後しかサバけない。収入の面から言えば、やはり一獲千金とはいかないだろう。しかし、スケールメリットとでも言おうか、20人の占い師が毎日常駐していると、他からもそれなりに仕事は入ってくる。例えば新聞、雑誌の運勢欄や企業が発行する社内報に掲載する星占いなどである。
  また百貨店やスーパーが客寄せのために催事としてあっちこっちから招いてくれたり、ユニークな個性の占い師はテレビとも相性が良いらしく、東京発のメジャー番組にも数多く出演している。そのうち文章を得意とする者、イベント用の美人占い師など、占い師の分業、専業化が進み、いつの間にか気づくと、120名を越す異色大集団となったのである。
  さて、今後のビジネス展開だが、大手のゲーム機製造業者とタイアップして初めて開発したレーザーディスクの高画質映像を使ってテレビで顔の売れた有名占い師が登場するゲームマシーンが愈々全国のゲームセンターにお目見えする。わざわざ神戸まで来なくても近くのゲームセンターで占えるわけである。
  また、名古屋の大手観光バス会社ともタイアップして、「占いツアー」を組んだり、チケットぴあの窓口で前売券を発売するなどして、着々と基礎を固めている。一方では、男女の出逢いを1枚のおみくじに託した「神戸おみくじ」も定着し、これを核にブライダル産業に参入する計画もある。
  いずれにせよ、バブル崩壊後空前の不況風が吹くなか人々の不安は高まり、占いなり宗教なりが流行る訳だが、こんな時こそ、一人一人が足元をしっかり見つめ、自分の能力と幸運を信じ、希望を持って前進してもらいたいものである。
  占いは天気予報のようなもので、降水確率90%の予報が出たとしても傘を持って出かけるかどうかは自分で決めることであり、占いを盲信して大事なあなたの一生を棒に振らないよう老婆心ながらご忠告申し上げる。この世で頼れるのは結局自分自身だけなのだから。

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