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DATUMS 1993.04
航空業界・CRS戦略のゆくえ

椎名 俊造  日本航空(株)国際旅客本部営業部 営業システムグループ(CRS担当)課長



  最近、米国第2位のCRS(コンユータ座席予約システム)であるアポロ(ユナイッテド航空、USエア、英国航空など出資)と欧州・豪州等に展開している欧州系CRSのガリレオ(英国航空、KLM、スイス航空など出資)の合併によるガリレオ・インターナショナルの設立が正式発表され、こうした動きに代表されるとおり、CRS業界の系列化が現在世界規模で進行しているr。
  例えば、米国で第3位と第5位のCRSであったパーズとダータス?は、1990年合併してワアールドスパン(トランスワールド航空、ノースウエスト航空など出資)と資本提携を行い、アバカスと全日空が合弁で設立したインンフィニと併せて、米国、日本、東南アジアにまたがるCRSネットワークを作ろうとしている。
  米国最大のCRSであるセーバー(アメリカン航空系列)は、米国市場のほかオーストラリア、中近東にも進出しているが、1990年10月に欧州系航空会社が設立したCRSであるアマデウス(エアフランス、ルフトハンザ航空など出資)との全面提携を発表し、初の世界規模CRSが出現するかと騒がれた、しかしながら約1年後この提携は正式調印を待たずに白紙還元され、その後、セーバーは単独で自社ネットワークの拡大を図っている。
  アマデウスは、当初米国CRSのシステム・ワン(コンチネンタル航空系列)の技術援助を得て設立されたが、セーバーとの提携に失敗した後は、ワールドスパンとの関係を急速に深めつつあり、1992年夏には顧客情報の交換に関する営業協力契約を締結して、ワールドスパンの一員としての色彩を強めつつある。
  一方我が国においては、1970年代から代理店への端末展開を積極的に行ってきたアクセス(日本航空系列)が、既に1万台以上の端末を日本全国に展開し、全日空・アバカス系列のインフィニ(約2,500台)、米CRSの中で唯一日本に本格的に進出しているアポロ(約1,800台)に大きな差をつけている。
  CRSは当初これを運営する航空会社の販売促進ツールとして位置付けられていたが、1980年代以降、米国と欧州(EC)でCRSに対する法規制が導入され、CRSに参加する全ての航空会社を平等に扱うことが義務付けられたため、CRSの運営は、航空会社に取りコストがかかる割に営業活動に直接貢献する度合いが少なくなってきている。
  一方、技術の進歩により、代理店にとってはどのCRSを使っても全ての航空会社の予約をほとんど同じような精度で行うことが可能になったため、限られたオフィス・スペースを節約し経費を節減するためにも、CRS端末を何種類も設置するのではなく、最も使い慣れた一種類に限定したいとの声が強まってきている。
  いずれにせよ、CRSが航空業界・旅行業界双方にとって必要不可欠なもの、言わば業界の「公器」としての色彩を強めていることは紛れもない事実であり、今後共CRSは更にその中立性を強めつつ、業界のニーズにより広範に応える形で発展していくものと思われる。

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