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DATUMS 1993.06
『さかな・海・ふれあい』 釧路フィッシャーマンズワーフ構想

高橋 洋  釧路市経済部観光室 観光開発担当主査

■たかはし ひろし
 1955年釧路市生まれ。1978年釧路市役所入庁。保護課、財政課を経て本年4月より現職。


  釧路市は、水産・石炭・森林等の豊富な資源を生かした産業都市として、明治の開拓以後北海道の中核都市として成長してきた。また、背後には釧路湿原をはじめ、阿寒・知床などの観光資源にも恵まれ、北海道観光の玄関口として、さらに重要港湾である釧路港の機能を最大限に活用した流通拠点都市としても発展を続けてきた。
  しかし、ス産業。石炭産業は、200カイリ問題を端緒とした北洋漁業の縮減、石炭政策における総量規制などにより、減速傾向を示し始めた。
  このような低迷する経済情勢を憂慮した市内の若手経済人(青年会議所)が、21世紀を展望した新しい産業の創出を目指し提唱した『観光漁業ショッピングセンター構想』に、旧い港湾施設の再開発、ウォーターフロントの整備によるシンボルゾーンの形成を盛り込みまとめられたのが、『釧路フィッシャーマンズワーフ構想』である。
  この構想は、その基本理念を「さかな・海・ふれあい」とし、釧路の21世紀の方向性をイメージした第1次から第3次までの計画となっている。
  第1次計画事業として実施されたのが、運輸省の民活第1号認定施設である、旅客ターミナル[MOO(ムー)]と全天候型緑地[EGG(エッグ)である。
  第3セクター「釧路河畔開発公社」が事業主体となり建設・運営するMOOは、釧路地方の新鮮な魚介類、乳製品などの北の味覚から、個性溢れる手作りのファッション・雑貨までとりそろえ、ショッピングが楽しめるほか、流水プールやフィットネススタジオなどのレジャー施設も整っている。またEGGは、御椀を伏せたようなガラス張りの施設の中に、1,700本余りの木々が一年中緑鮮やかな空間を創りだしている。
  両施設がおーぷんしたことで、釧路観光は湿原観光との相乗効果によりそれまでの通過型ら滞在型へ移行、年間240万人を越える集客力を持ち、大きな経済効果を生んだ。しかし、MOOには年間200万人を超える入場者がありながら、事業主体の河畔開発公社の経営は厳しい。景観に配慮した大きな設備投資、公共的部門の収入不足等が要因と考えらるが、第3セクターとして公共性と採算性の相反する二面性を抱えるこの悩みは大きい。
  現在釧路フィッシャーマンズワーフ構想は、第2次計画地区の整備が進められ、本年6月に開催される「ラムサール条約締結国会議」の主会場として「観光国際交流センター」が5月にオープン、これに続く環境体験館を中心とした水際文化施設の具体化へ向けての事業化調査を実施している。
  資源依存型産業から、21世紀を見据えた資源を高度利用する新しい産業への変換が求められている今、本構想の持つ意義は大きい。
  漁師町の香を残しながら、釧路は大きく生まれ変わろうしている。

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