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DATUMS 1993.07
アイデア資本のまちづくり 大金いかんべ共和国(栃木県南那須町)

網野 栄  大金いかんべ共和国国家考案室

■あみの さかえ
 南那須町役場ふるさと振興課まちおこし係主査。


  「金運招福」をテーマとして「遊び心とユーモアで町のイメージアップと地域の活性化を図り、理想のふるさとづくりを目指そう」とミニ独立国「大金いかんべ共和国」が南那須町に建国されたのは、昭和62年8月。栃木県初のミニ独立国である。「大金」というのは地名、「いかんべ」は方言で「いいだろう」という意味だ。
  人口1万3,000人、知名度が低い、名所、旧跡、歴史、それに観光資源の乏しい南那須町にあって、町のイメージアップと町民の意欲を盛り立てつつ、アイデアを凝らした「何かおもしろい事」でまちおこしが図れないかと検討した結果である。また、当時、町の中心街を外れたところにバイパスが開通し、いずれは商店街が衰退してしまうのではと危惧され、購買客を固定させるために地域ぐるみの対策が必要だったという背景もある。
  建国宣言からはや6年を経て、世界の注目を集める大国へと成長。いたって陽気な国民性、金運が授かるとの評判も高く、大統領をはじめ各大臣、国民の努力でアイデアいっぱいの楽しいまちづくりを展開中である。
  現在、閣僚の数は60人で、大統領は歯科機械製作所の社長である。共和国の組織は、大統領を筆頭に名誉大統領、首相、官房長官はじめ、くにおこし、あきない、あんない大臣などのポストがある。ユニークなものでは、外務がつきあい大臣、広報がほらふき大臣、裕福がおおがね大臣、駅長はのりもの大臣、郵便局長はおたより大臣、警察の駐在さんはこまわり大臣である。「しもつかれ」大臣は栃木(下野)地方の特産の健康食のなで健康大臣である(注)。その他、ブラジルやイギリスに駐在大使を置き、国内各地にも現地駐在大使を任命し、情報の収集・発信を密にしているところである。また、役場は国家考案室を拝命している。平成3年には、ミニ独立国国際連合に加盟した。友好国には、ニコニコ共和国(福島県二本松市岳温泉)、そやんか合衆国(大阪府大正区)、銀杏国(東京都八王子市追分町)、山菜共和国(新潟県入広瀬村)、天狗王国(栃木県津上村)がある。
  JR烏山線大金駅前には、大金いかんべ共和国のシンボル、古城風の大統領府・物産センターがある。ここで入国手続きを済ませた共和国パスポートを取得すると国民になれる。国民には恩典があり、共和国の「酒」「迎賓館」「大金もち」「温泉入浴」が割引になる。共和国では毎月一回定例閣議を開き、重要案件を決める。また、年間を通じ多彩な手作りイベントを実施。主なものは、「共和国建国記念祭」「協和国探検ツアー」「大統領府開設記念祭」など。全て閣僚による手づくりである。
  共和国の閣僚は、地元各界各層の人達、いわゆる地域のリーダー達の集まりである。異業種交流的なところがあり、いろいろな分野の人達と接することができ、話し合いができる。そして、ものの見方や考え方を幅広くすることができる。遊び心を活力に、町民に夢を与え、ふるさとに愛着を持ち「おれは南那須町の出身だ」と胸を張って言えるまちづくりが、わが「大金いかんべ共和国」のテーマである。

(注)しもつかれ=節分の豆を大根おろしとともに煮る。高血圧や夏ばての防止など様々な効用がある。

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