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DATUMS 1994.10
「イコール・オポチュニティ」の現場から

小泉 曜子  日本アイ・ビー・エム株式会社

■こいずみ ようこ
 福岡県出身。1977年入社。営業部門を経て昨年より人事人材管理イコール・オポチュニティー推進主任人事担当部員。事故により左手に3級の障害を持つ。一女あり。


  当社では各国共通の七つの経営理念のひとつに「個人の尊重」がうたわれている。この理念のもとに種々の人事方針がたてられておりその中に「イコール・オポチュニティー(機会均等)」という考え方が明文化されいる。これは社員であれば年齢、国籍、宗教、性別、障害のあるなしにかかわらず、機会を与えることに関しては、差別をしてはいけないという方針である。障害をもっているから簡単な仕事、責任の軽い仕事を与えるということではなく、業務遂行上でハンディキャップとなるところを補った上で、同じ仕事をしてもらうという考え方である。私の所属する「イコール・オポチュニティー推進」はこの考え方に基づき、差別がないかどうかといことを見張る役目を持ち、障害をもった方々への個別相談やその上司へのアドバイスも含め働く環境整備を行ったり、また、障害をもつ方の採用にたずさわっている。
  現在多くの企業が障害をもつ方々の雇用促進に積極的であり、相談を受けることも多いが、企業側の努力のみでは雇用は進まないことを痛感している。公共施設、公的交通機関などまだまだ障害をもつ方々への配慮がなされていない所が多い。当社では研修や出張が多く、また転勤もあり、障害者対応の宿泊場所の確保や住居探しも大変である。テナントビルへの配属を決める時もオーナーの理解を得ることが難しい場合もあり、新規に建設する建物には障害者対応を義務づけるなど行政側に期待したい。
  しかし障害者を受け入れるという観点からはすでに家庭教育や学校教育時点からスタートしているといっても過言ではないと思われる。子どもは小さいほど自分にも他人にも「何かが出来ない」ことに寛容である。素直にありのままを受け入れられるうちから自然体で自分と違う人とも接することを身につけるべきであろう。そこに自ずから「思いやりのある配慮」が生まれてくると思う。
  残念ながら当社の中にも総論は賛成でも個別に自分の部署に障害をもった人を受け入れることは無理だと考える人はまだいる。反面、障害をもつ人自身も障害に対して甘えていたり、意固地になったり、自分自身を理解してもらおうという努力を怠っている場合もある。雇用を進めるにあたって企業側、行政側(学校側も含めて)の努力と障害者自身の努力及び家族の協力があってこそはじめて実現するのだと考えている。

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