[BACK]
DATUMS 1994.1
転機を迎える外食産業

茂木 信太郎  フードシステム総合研究調査部

■もぎ しんたろう
 1948年静岡県生まれ。78年法政大学大学院経済学研究科修士課程修了。(社)食品需給センター、(財)外食産業総合調査研究センターを経て現職。立教大学社会学部非常勤講師。主な著書に『外食産業・21世紀戦略』『外食産業・成熟期の中のニューモデル戦略』(以上編著/日本能率協会)『都市と食欲ものがたり―食と文化の考現学―』(第一書林)。


[ガストの衝撃]
  ファミリーレストランチェーンの最大手すかいらーくの店舗が今、全国で次々と新業態店「ガスト」に転換しつつある。ガストは、1992年3月にすかいらーくが実験をはじめた低価格メニューを看板にする店だ。1993年7月に700店舗弱あるすかいらーく店を年内に200店舗ガストへ転換するという方針を打ち出し、業界関係者をびっくりさせた。同年10月末現在ガストは103店舗、予定を上回るスピードで、すかいらーくのガスト化が進行している。
  すかいらーくが23年前に東京・国立で1号店を出した時、ハンバーグの値段が380円、今680円であるが、ガストはこの20数年前のメニュー価格を実現している。すかいらーくからガストに変わった店はいずれも対前年比で客数が5割から10割ほど増え、客単価が300円前後落ちるが売上高、利益とも大きく伸ばしている。
  すかいらーく社長は、ガストでコンビニエンスストアに十二分に対抗できると意気軒昂である。

[独自路線で対応]
  ファミリーレストラン御三家といわれたデニーズは、新業態の開発に不況脱出の出口を求めず、メニューを各店舗ごとに違える仕組みをつくり出そうとしている。
  チェーン店といえば、同一メニュー同一価格が通り相場であるが、デニーズではマーケティング力と情報武装を武器にして、個店ベースの細かな消費者ニーズ対応を図っていこうというわけである。
  デニーズはナタデココでブームを呼び込んだが、これも数年来注目されている女性向きデザートメニュー開発の努力の賜物であり、デニーズのマーケティング力の成果である。 御三家の残るロイヤル(ロイヤルホスト)は、バトラー(焼き肉レストラン)、シズラー(ステーキ)、インフォルノ(ニューイタリアン)、ミヤスエリザベスマフィン(マフィンとクッキー)などの新業態を精力的に拡大するとともに、横浜ランドマークタワーの5階全部を使って我が国最大級の800席のフードコートを実現したり、関西国際空港の開港を睨んで機内食への進出を計画している。
  また、ダスキンと日本水産のJV(合弁会社)である「どん」の展開する海鮮丼チェーンが、ザ・どんのFC(フランチャイズ)となって、出店が開始された。

[外食新時代の到来]
  このように、これまで1970年代、1980年代を通じて、いわば横並びの拡大戦略を採ってきた大手外食企業各社は、バブルの崩壊と消費者のチェーン店離れに遭遇して、果敢にリストラクチャリング(事業の再構築)を遂行中であるが、その方向は、各社各様という展開である。
  不況と円高と各種規制緩和(ディレギュレーション)が一体となって食料品デフレ時代を現出しつつあるが、このような経営環境下で、各外食企業もそれぞれ固有の戦略で固有の魅力を消費者にアピールするという方途を進みはじめた。

[BACK]