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DATUMS 1994.03
他言語本音情報誌の挑戦は続く

カマーゴ さか江  (株)ザ・サードアイコーポレーション代表取締役

■Sakae Camargo
 日本在住の外国人と日本人が同じ舞台で本音をぶつけ合うメディアとして、月刊雑誌『We're』を創刊し、日本語、韓国語、中国語、英語の4か国語完全併記の新しい雑誌形態として注目を浴びる。19号まで発刊したが、93年末、資金難からやむなく一時休刊。


  「来月から『We're』(ウィアー)を定期購読したいんですが」という電話を受けることが、今一番つらい。休刊が決まった昨年の12月から、特に多くなったように感じるのは、気のせいだろうか。
  比較文化の実践、違いを認めて初めて本当の理解につながると考え、日本語ばかりではなく、韓国語、中国語、英語を同時並列した雑誌『We're』(ウィアー)は「書き手も読み手も多国籍」を編集方針にしてきた。ものごとを多方向から「見る」ということを意識して作ってきた。それを月刊でやろうとしたから、大変だった。しかし、号を追うごとに『We're』への参加者は増え、雑誌作りのおもしろみは「これから」というところだっただけに、通巻19号の休刊はつらかった。
  私自身に編集のキャリアがあったわけではないので、すべてが一からのスタートだった。編集スタッフ、翻訳者などはクチコミで集ってきてくれた。しかし、雑誌の収入源である広告集めとなるとその候補者はなかなか集らない。雑誌本体の売上は流通にかかる費用などで飛んでしまうし、かといって本体価格を引き上げることもむずかしく、製作費用にまったく満たない。となると、広告収入に頼らなければ成り立たないことになる。
  多くの雑誌がそうであるように、そのスポンサー集めもこの不況もあいまって簡単なことではない。広告代理店、企業を片っ端から歩いてきた。出版業をしている先輩たちに話を聞いたり、雑誌媒体に詳しい広告代理店の人に広告のしくみを教えてもらった。
  メディアの中でも雑誌媒体というのは「総合誌」「女性誌」「ヤング誌」「専門誌」などに分けられるという。それによって、広告代金も違うし、広告を打つ企業も、商品も違う。果たして『We're』はどの分野にあてはまるのか?代理店の人も首を傾げた。
  「既存の媒体でも今は広告を切られているのに、新しい媒体は無理だね」とあっさり断られるのに慣れたころ、ある代理店から「外国人向け誌」という位置付けで『We're』を扱ってくれるという話がきた。『We're』の読者は確かに「外国人」が多いが、もっと多くの日本人にも読んでもらいたいと雑誌作りをしていたわたしたちにとっては、「外国人向け」というのも少々ピンとこない気がする。しかし、雑誌の生き残りをかけて、どうやって企業を説得するか、どうやったら多くの人に読んで貰もらえるか、を考えてきた。
  「アジアものは売れないよ」という流通業者の言葉や「アジアの人はうちの商品の購買者じゃないから」という企業の宣伝担当者の話などは、国際化をめざしている、アジア市場に進出しているところでさえも、ほぼ同じ回答だった。
  こうした「現実」を愚痴るのではなく、どうしたらいいのかと戦略を練る時期にこの休刊をあてようと思っている。「書き手も読み手も、そしてスポンサーも多国籍」を実現させるために一段とたくましくよみがえろうと私は今、企んでいるだから。

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