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DATUMS 1994.7
90年代後半の余暇動向を探る

遠藤 圭子  (財)余暇開発センター研究員

■えんどう けいこ
 1965年生まれ。津田塾大学英文学部卒業。オレゴン大学大学院社会科学博士課程修了。現在、(財)余暇開発センター研究員として、レジャーの基礎研究に従事。『レジャー白書』を毎年執筆担当している。主な研究分野は、レジャー意識・レジャー行動の予測、レジャー産業動向の分析など。


  (財)余暇開発センターでは、今年も恒例の『レジャー白書'94』を4月26日に発表した。日本人のレジャー、あるいはレジャー産業が、バブル景気による好況とその後の急速な崩壊という経済変動の中で、大きく変わりつつある。
  今年のレジャー白書によると、労働時間の短縮が確実に進んで余暇時間、余暇参加人口も増えているのに、全体のレジャー消費は横ばいで、一度にかける平均費用は減少しているという。これは必ずしも不況の影響だけでなく、レジャーを楽しむわれわれの側からすれば、一つの財やサービスにかけるお金を減らし、より多種多様な欲求を満たしたいという志向の表れだ。
  一方、レジャー市場でも人々の志向の変化に対応して、次のような注目される動きも出てきている。第一は、「低価格化」と「値ごろ感重視」の動きである。海外旅行における“格安航空券”、「すかいらーく」の低料金レストラン「ガスト」への転換、テレビゲーム・ソフトの中古市場の拡大、公共のスポーツ・文化・宿泊施設の人気等々。人々は」余暇支出の面でも、値ごろ感を重視しながら限られたお金を配分しようとしている。
  第二には、家族や仲間との「交流」や「地域(コミュニティ)」を重視するレジャー・サービスが伸びている。前者はオートキャンプやカラオケボックス業界、後者は93年に始まったJリーグがその代表例である。特に、Jリーグはホームタウン制により、地域振興に大きく貢献した。
  さて、90年代後半には、日本のレジャーはどうなるか。白書は、「時間享受型」のレジャーの広がりを示唆する。どんなレジャーを楽しむにしても、ただ時間を消費するだけでなく、時間を生かし、時間を楽しむ。われわれのレジャーは時間重視の傾向にあるという。 長びく不況のなかで、生活願望のすべてが縮小傾向にあるように思える。しかし、こんな状況のなかでも、人々のレジャーに対する欲望は縮小どころか、むしろ拡大傾向にある。特に、レジャーにおける選択の幅(選択肢の多さ)、ならびに深さ(選択へのこだわりの程度)を求める志向が強まっていて、このことが私たちのレジャーを個性化・多様化している。
  労働時間短縮で時間を得た私たちは、少しづづではあるが、自由時間の過ごし方に関して以前よりかしこくなっている。レジャー産業も今までの様に、マス・レジャーに重点的に反応するばかりでなく、個々の個性に見合った多種多様なサービスと、時代を先導していくような力がほしいものである。

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