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DATUMS 1994.9
関西新空港と航空貨物をめぐる新しい流れ

林 克彦  流通科学大学

■はやし かつひこ
 1959年生まれ。東京工業大学理工学研究科修士課程修了。物流関係の研究所を経て、昨年度より現職。専門は物流論。


  24時間運用となる関西新空港は、遅い集荷や朝早い配達を目標とする航空貨物関係者の大きな期待を集めている。週15便の貨物専用機、週300便以上の国際旅客便や国内線が就航し、関西新空港を中心とした新たな太い航空貨物の流れが生じる見込みである。
  貨物のなかでも魚介類、野菜など生鮮食品の輸入急拡大が予想される。西日本向け生鮮食品の輸入に要する時間は、混雑する成田空港を経由する場合と比べ1日程度短縮される見込みである。韓国、中国、台湾など近隣諸国からの輸入では、現地で水揚げされた日の翌朝のセリに間に合うようになり、活況が予想される。関西新空港の貨物施設では、当初から生鮮貨物向けに2次仕分け場が整備されるなど、施設面での対応も進められている。
  生鮮貨物以外の一般貨物の流れでも、関西新空港の開港によって、関西の物流拠点としての位置づけが一層確実になる。関西新空港には国際線に加え国内線が乗り入れるうえ、周辺港湾施設の集積を活用することにより、関西圏は国内外の物流の要としての役割を担うことができる。こうしたものの流れは、空港近隣地域が輸入促進地域(FAZ)の指定を受けたことにより、一層円滑化されると期待されている。企業のなかには、物流センターを従来の関東一極集中体制から、関西との分担体制に移行する動きがみられる。
  関西新空港を経由した新たなものの流れは、関西地方と他地域の新たな結びつきの反映でもある。関西新空港は、関西が諸外国、なかでもアジアの中心としての立地を獲得し、国内各地と諸外国との結びつきの玄関となる可能性をもたらす。これは関西新空港がアジアのハブ空港となれるかどうかにかかっている。
  この点で関西新空港になおも大きな課題が残されていることは否めない。最大の課題は、経済性の確保である。航空貨物は旅客よりも、経済原則に則って流れるといわれている。航空機の着陸料や貨物施設の使用料は、世界最高水準にある成田空港を上回ることは確実であり、このままでは輸送コストがかなり割高になることは避けられない。
  この点で、貨物の流れを一貫的に合理化し、国内集配や一時保管の費用を低減する工夫が必要になる。なかでも空港島への貨物転送はおおきな課題のひとつである。関西新空港での貨物処理は、空港島内だけでなく神戸航空貨物センター、大阪南港航空貨物基地、りんくうタウンでも可能であり、これらを効果的に利用することも一策となるだろう。
  今後も日本に発着する航空貨物は増加が見込まれている。増大する航空貨物輸送需要に対処するうえでも関西新空港の活用が不可欠だが、そのためには経済性を始めとする課題を解決する必要がある。これによって初めて日本の国際貨物輸送は、成田一極体制から成田関西二極体制へと脱却できるだろう。

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