[BACK]
DATUMS 1995.11
本格的競争時代、そしてマルチメディアへ

緒方 知行  (株)オフィス2020代表,雑誌「2020AIM」編集主幹

■おがた ともゆき
 1939年福岡県生まれ。早大卒。流通・小売業界の雑誌社「商業界」の編集統括取締役を経て1983年独立。(株)オフィス2020を設立し、新しい視座に立った商いの自己変革を主導することを基本姿勢とした雑誌「2020AIM」を創刊。業界発展のため講演活動も精力的に行っている。著書に『イタリヤード分かち合いの経営』『鈴木敏文・語録』など多数。


  コンビニエンスストアは、読んで字のごとく「便利な店」である。1974年、本格的なわが国におけるコンビニエンスストアの嚆矢は、セブン‐イレブンの第1号店オープンであるが、以来「人々の日常生活の中にあるコンビニエンス(つまり便利さ、利便さを求めるニーズ)」充足のために、いかにあるべきかを追求し続け、そのニーズに即した新しい需要(利便性・便利性の新しい価値)の創造、開発によって、セブン‐イレブンは、全国に6000店を数え、1兆4000億円の売上規模に達するスケールを現実のものとするに至っている。しかも、この不況期、他の小売業の多くが、規模の大小を問わず業績不振にあえぐ中で、着実に業績を伸ばしているのである。
  さらに、セブン‐イレブンのあとを追って、ローソン、ファミリーマート等、続々とこの20年業容を伸ばしてきたコンビニエンスストアがわが国にはひしめき合い、すでに店舗数においては人口で2倍あるアメリカと、ほぼ等しいところまでになり、この増勢は今後も続きそうである。
  小売流通産業全体のダイナミックな動きは長いこと「大規模小売店法」による実質上の規制で阻害されてきていた。その中で、コンビニエンスストア領域のみが、自由に大手流通企業にとっての業容拡大チャンスであったために(たとえばセブン‐イレブンはイトーヨーカ堂、ローソンはダイエー、ファミリーマートは西友によるものである)、短期間で一挙にこうした店舗の増勢が行われたのである。このために、今日、小売・流通世界では、他にみられない、すさまじい本格的競争時代へとコンビニエンスストアの世界は突入しつつある。この中で、各チェーンとともに発展・成長はおろか存亡までかけての、自己差別化策──他では実現できないオンリーワンの独自の利用者にとっての満足と価値──の追求に余念がない。
  その結果として、生活者にとっての日常的な生活の利便性、便宜性のニーズに即した多様多彩でかつ新しい生活価値の創造・開発へのチャレンジが物財、サービスを問わず、どんどん行われ、この面での暮らしの豊かさは、より一層高い次元のものになっていくであろうと期待される。
  たくさんの拠点(店舗)を高度な情報システムと、これまた高度な物流ネットで結びつけた仕組みとシステムのイノベーションの追求がこれまで一貫してなされてきたが、この中でたとえばセブン‐イレブンのように、全店と本部(およびその出先機関)、およびこの店々に商品をキメ細かく納入するメーカーやベンダーの間はすでに光ファイバー通信網によってオンラインで結ばれている。
  たくさんの拠点と、綿密な物流の仕組みと合わせて、さらにイノベーションが進んでいく中で、まさにきたるべきマルチメデイア社会の主役を担うにふさわしい生活にとっては画期的なビジネスの創生も可能であり、これは21世紀への今後の産業革新にも大きな主導力を発揮するのに違いないと目されている。

[BACK]