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DATUMS 1995.12
NPOにおける人材育成にむけて

今田 克司  日本太平洋資料ネットワーク(JPRN)事務局長、在・USAオークランド

■いまだ かつじ
 1962年生まれ。国際基督教大学でコミュニケーション論を専攻。その後東京大学総合文化研究所でエスニシティ論を専攻。1991年アメリカに渡り、カリフォルニア州立大学バークレー校の大学院に入学、公共政策を学ぶ。1993年修了後JPRNの専任タッフとなり1994年から現職。


  民間非営利の市民活動のための法制度を整える動きが、急速にまとまりつつあるという。NPO(民間非営利団体)としての法人化のハードルが低くなれば、オフィスを借りるとか銀行口座を開くとか、ごく日常の活動の便宜上大きな違いがでてくるほか、団体の資金管理面や職員の福利厚生面などで、団体として責任のある運営ができるようになる。
  しかし法人格の付与は、日本のNPOセクターが今後大きく発展するための一里塚で、終着点ではない。制度作りはあくまでも道具を作ることで、その道具をつかって市民が市民のためになにをするのかが問われることになる。アメリカの実践例になぞらえれば、そこには、環境、高齢者福祉、人権擁護、消費者、芸術・文化、各種社会サービス、街づくり、障害者のアドボカシー、医療・保健、女性の権利、情報公開など、まさに多種多様な分野の活動がはいってくるはずである。
  新たなNPOの法体系を利用して市民活動を広げていくには、これを担う人材を育て「NPOでめしを食う」ことを考え、かつ実践する人々を増やしていくことが肝要になってくる。なにかのきっかけで活動にかかわるようになった人々を、つなぎとめ、育み、技術や知識を伝え、継続的にサポートし「経営陣」として活動の中心メンバーにしていく仕組みが必要だ。そのとっかかりとしては、例えば、ボランティアやインターン(研修生)として活動に積極的に参加しようとする学生には、卒業のための単位を与えるなど、これを支援するシステムを大学等の学校側が提供することが考えられる。特に若い世代を中心に、NPOセクターが今後職業選択の場として魅力のあるものに映ってこなければ、人材の広がりもあり得ないし、人材の広がりがなければ、NPOセクターの将来は危うい。
  このような認識にもとづき、JPRNでは、来年の2月下旬から3月下旬の1か月間にわたり、日本から20−30代の人々を、米国サンフランシスコ・ベイエリアで活動している現地のNPOに研修生として派遣する「青年インターンシップ・プログラム」を行なう。若い世代の人々が将来のキャリアプランを考えるうえで、NPOという選択肢があっていい。そういうインスピレーションを与える機会が、今後各方面から出てくることを期待しつつ、このプログラムがその一助になればと願っている。


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