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DATUMS 1995.01
フード業界のニュートレンド三題

茂木 信太郎  フードシステム総合研究所調査部長

■もぎ しんたろう
  1948年静岡県生まれ。1978年法政大学大学経済学研究か修士課程修了。(社)食品需給センター、(財)外食産業総合調査研究センターを経て現職。立教大学社会学部非常勤講師。主な著作に『都市と食欲ものがたり―食と文化の考現学―』(第一書林)『【最前線】輸入米ビジネス』(日本経済新聞社)『外食用語辞典』(監修、日経BP社)など。


発泡酒:規制緩和でビールの最低製造量が年間2000キロリットルから60キロリットッルへ引き下げられた。しかし、期待されたような地ビールブーム、ブルパブ(マイクロブルワリー付きレストラン)ブームはまだやってこない。60キロリットルがまだ多いというのがその理由の一つだ。
  ところが、ビールと味(飲み心地、酔い心地)はほとんど変わらないが、麦芽の比率を抑えた「発泡酒」に関心が集まりはじめた。これだと、最低製造量は年間6キロリットル、ビールの十分の一。大瓶換算で一日当たり26本売ればよい。加えて、酒税法上もビールより3割以上も低い。当然売値も安くできる。
  1994年10月にサントリーが静岡県でテスト販売して好調のため俄然注目度が高まっている。地方自治体、JA農協、酒造会社などでつくる日本マイクロブルーワーズ協会でも話題の中心で、1995年は全国でブルパブチームが開花するやもしれない。

クックチル:欧米では既に普及して久しいクックチルシステムがやっと日本でも本格的に導入定着される気配となってきた。
  クックチルとは、いったん作った料理を急速に冷却しチルド温度(摂氏0〜5度)で保存しサーブの時に再加熱(リヒート)するもので、これだと栄養の損失や品質低下はほとんどおきない。
  日野自動車とその関連会社の工場や社員寮などに毎日1万2千食を提供する日野フードセンターでは1994年1月からクックチルシステムを稼動させた。同センターのセントラルキッチンは東京都昭島市にあるが、ここから日野市や各地の食堂にチルドで料理を運んでいる。筆者も試食してみたが、その辺の社員食堂の料理を凌ぐ高品質の料理であった。
  ダイエー等の給食会社キャプテンクックもスパーマーケットの忠実やの社員食堂を受注するにあたってクックチル用のセントラルキッチンを埼玉県に設営した。同社では学習院大学の学生食堂も同システムで受託運営している。
  今後、病院給食などにおける院内調理の原則が規制緩和されると、この方式が多く普及するとみられる。近い将来、イギリスのようにデパートの食品売り場でクックチルの料理が扱われる日が来るかもしれない。

焼きたてパン:ベーカリーレストランと銘打った店が増えつづけている。焼き立てでバラエティに富んだベーカリーはデパートでも妍を競い、街の商店街でも人気者だ。1994年上期のコメ不足騒動でパン嗜好が一気に急上昇したという背景がある。
  ホテルでもベーカリーの販売に力を入れ一部ではホテルの外に店をつくるところもでてきた。また、コンビニエンスストアのセブンイレブンでも焼きたてパンを導入し販売店舗網を拡大しつつある。
  これらの多くはベイクオフと呼ばれる冷凍生地用の新技術を活用したもので、海外で冷凍記事を調達する例もある。95年は焼きたてパンが全国に広がろう。

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