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DATUMS 1995.03
自然を傷つけないでコミュニケーションする―“地球の友”のエコツアー・プログラム

小野寺 ゆうり  FoE(フレンズ・オブ・ジ・アース)JAPANスタッフ

■おのでら ゆうり
 コンピュータエンジニア、フリーライターを経て、1992年にEoFJAPANにスタッフとして加わる。一般事務およびファンドレイジングを担当。


  多くの日本人が国外へ向うようになった今も、往々にして気付かされるのは旅慣れた西洋系の旅行者と私たち自身の旅のスタイルの違いです。言葉による壁はもちろん大きな要素ではありますが、それ以上に、行った先の人々への溶けこみ方、ツアーグループ内でのコミュニケーション等においてまだまだ試せるものが多いというのは、外国人のスタッフによるツアーづくりを目の当たりにして強く感じています。
  過去5年間、年間約2回程のペースで行っていた国内のツアーに、93年より国外へのエコツアーが加わりました。国内ツアーは現在英国在住の鳥類学者マーク・ブラジル博士の案内で、北海道の釧路湿原や風蓮湖を回るツアーがポピュラーです。博士はJAPAN TIMESのコラムニストでもあり、基本的には英語の説明となりますが、片言の日本語も交え、10人から15人ほどの外国人日本人半々程度の参加者を得ています。バードウォッチングのベテランである博士により、その場の環境や自然を傷つけずに自然のなかで存在感を味わえるということ、少人数のアットホームな雰囲気のなかで他国の人々と日常を離れた交流をできるという点もあり、若い方から中高年の方まで参加年齢層も多彩です。
  一方国外ツアーは直接環境保護やNGOとの接点を求める若い人向けに、93年のロシア極東ツアーを皮切りに、94年は同じくロシア極東とバイカル湖への計2回、北部ベトナムへ1回エコツアーを実施しました。アメリカ人スタッフの企画するこれらのツアーは、直接現地で社会的な活動や環境保護を行っているNGOのアレンジのもとで、自然を楽しみながらも、現地の厳しい社会経済状況を実際に知る機会ともなっています。ロシアでは自然保護区のレンジャー隊員達と交流しながら、いま何が彼らに必要なのかを聞き、先住民の人々を訪ねて問題点とどういった協力が彼らが求められているのかを知っていきます。ベトナムでは、ハノイ大学のチームの協力で、森林に傷をつけずにエビやハチミツの生産を行うプラン等が紹介されます。
  旅のスタイルには一人一人の独立した判断とシンプルさが求められ、提供されるサービスも限られいます。参加者は半分弱が日本人。でも外国人参加者の多くが日本語ペラペラというケースが多く、コミュニケーションしながらパーティー内での文化的な違いを体験するユニークな雰囲気を醸し出しています。
  現地でのアレンジに対し支払われる対価が相手先NGOへの直接の資金援助となり、保護活動を進める上でのもうひとつの不可欠な要素、人間関係のネットワークを進められるいうことは、このエコツアープログラムのもっとも重要な目的となっています。
  漢方薬向けの密猟であと数年で絶滅しそうなシベリアタイガー(トラじたいも全世界で約5,000頭しか残っていません)、熱帯林からシベリア等の北方材に移行しつつある森林の伐採産業の動向を見据えながら、持続可能なかたちでの森林利用を進めるシベリアプロジェクトは、このエコツアーのネットワーキングをもとに昨年春から東京とウラジオストクを中心に進められています。

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