[BACK]
DATUMS 1995.03
エコビレッジとレジャーの接点

設楽 清和  エコビレッジ基金事務局長

■したら きよかず
 観光関係の財団法人職員を経て、自然と向き合おうと農業に携わる。その後米国で文化人類学を学び、帰国後現職。


  エコビレッジとはエコロジカルビレッジ(Ecoligical Villegge)を略した言葉で、環境と共生する村を意味します。「環境と共生する」という言葉についてはさまざまな定義が与えられており、また原料のリサイクルやソーラーシステムのように既に広く実践されている技術も数多くあります。しかし実際には環境の劣化は続いています。環境との共生は単なる概念化や断片的な技術で成し遂げられることではないことは明らかです。
  エコロジーの第二法則は「すべてのものは他のすべてのものと密接に関係している」としていますが、環境を考える場合にいわゆるホーリスティックな取り組みがどうしても必要になります。すべてといってもとこまでなのかということが問題になりますが、エコビレッジにおいては、まず「自分自身の生活のすべて」が基本です。個々人が生活の中の主な要素、衣、食、住、そして労働を自分でつくることからはじめて、生活全体を自らの手で組み立てて一つの体系をつくりあげるわけです。そこでは、自らのさまざまな行為の関連性が明らかになってくる。たとえば、食べ物の生産に農薬を使えば、それが土壌や水の汚染につながったり生産性の低下や健康の障害といったかたちで自らに還ってくるのがはっきり見える。ですから個人は自らの生活の自立した体系の全体に対して責任を負わなければならない。これが自らの生活のずべてに取り組むことの意味です。そしてエコビレッジとはこのような自立した個々の生活の総和としてやはり自立した体系です。村と個人が入り子状になっているわけです。
  レジャーということですが、エコビレッジにもレジャーという要素はある。しかし、現在の消費社会のそれとはだいぶ性格が異なっています。
  先日、オーストラリアのクリスタル・ウォーターズというエコビレッジで生活してきたのですが、そこにはレジャーという時間割はない。近くに川があって泳ぐことも魚釣りもできますし、川辺には手作りのサウナもあります。しかし、週末に時間をとって川に行くわけではない、暑ければ泳ぐし、朝の気持ちのよい時間に散歩がてら釣りをする。さらに、たとえば、家も住民が自分で作るのですが、土や木などそこにあるものを材料にしてさまざまな工夫を凝らして家造りをしている。それも、これを実に楽しんでやっている。自分の生活をつくることが楽しみになっているのです。さきほど、レジャーが生活の一つの要素になっていると書きましたが、むしろ生活のさまざまな行為の中に入りこんだ心のあり方になっているわけです。エコビレッジにレジャー産業は存在しない。しかし、レジャーを生活の楽しみという本来の意味でとらえるならば、エコビレッジで生活することじたいがレジャーであるといえるでしょう。
  現在、美麻のエコビレッジはまだ建設途中にあるのですが、人生のある時期―もちろん大半でもよいのですが―をエコビレッジで過ごすことは、生活の楽しみを知ることになるでしょうし、その建設に加わることはより大きな喜びになるかと思います。

[BACK]