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DATUMS 1995.06
中高齢者ホテル

高澤 義市  (株)高さわ代表取締役

■たかさわ よしいち
 1925年東京に生まれる。兵役等を経て、1948年より68年ま西武鉄道勤務。その後天ぷら“高さわ”及び喫茶店を経営。86年にビジネスホテル高さわ開業。


  当ホテルの土地は先代より譲り受け、オープン以前は土地で喫茶店と料理屋の営業の傍ら、アパートを経営しておりましたが、アパートの老朽化を機に、ビジネスホテルの経営を決心いたしました。
  ホテルの建築中、私は無収入だったので、アルバイトを探しに職業安定所へ行ったのですが、そこで求職中の多くの同年輩の定年退職者を見かけたのです。
  ご承知のとおり、接客業には臨機応変かつ手厚いサービスが要求されますし、加えて、ホテル業には体力も要求され、人材の善し悪しは即、業績に影響します。年配者の豊かな人生経験をサービス業に活用できれば、今までにないサービスが提供できるのではないか、また、健康管理面に十分な配慮をした勤務体制を整えれば、求人も比較的容易で、なおかつ、大きな戦力になるのではないかと考え、中高齢者の雇用に踏切りました。
  採用した人材にはホテル勤務経験者はいませんでした。オープン当初はお客様にご迷惑をお掛けしたこともありましたが、お客様のご理解とご指導により従業員のホテルマンとしての職業意識も増し、男性は一層力強く、女性はなお一層若く、美しく、実年齢を感じさせないようになり、お陰様で今日では多くのお客様よりご好評を得ております。
  ホテルマンとしての基本的マナーが身についた時、前歴を誇りとして自信を持ってお客様に対応できるものとの考えから、研修期間を設けておりますが、就業姿勢が前向きであれば、ある一定の結果が出るまで、研修期間終了まで6か月あるいは1年でも待つように心掛けております。たとえ1銭でも損をしたような不愉快な思いを抱いたままお客様がお帰りなることのないよう、今後もさらに努力を重ねていくつもりです。
  毎月第4月曜日に「花草会(話そうかい)」という場を用意しておりますが、発言者が発表を終えるまで質問してはならない、仕事の話をしてはならないことにしております。各人の隠れた能力を引き出すよう聞き上手になり、ひいては、その事がお客様の要望を正確に理解し、応えられることに繋がるよう各人も努めております。
  健康管理については、個々の従業員の日常の状態を憶えておき、少しでも異常に気づいた時には主治医の診断を仰ぐよう勧めております。
  以上が私どもの中高年齢者戦力化の実践ですが、今後も新たに発生する問題についても前向きに努力を重ねてまいるつもりでおります。従業員の配偶者の健康がすぐれない時にも、休暇がとれるように体制を整えております。
  最後に一言、高年齢者のあり方について私見と願望を述べさせていただければ、仕事をするも良し、趣味を生かすも良し、いずれにせよ健康でなければ何もできません。男性と女性は表と裏のようなもので、互いに表は裏を、裏は表を意識し合い、充実した日々を送っていただきたいものと思っております。

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