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DATUMS 1995.08
“オープンシステム化”によるCRSの新たな可能性
  ――APOLLO TRAVEL SERVICE


野沢 実  東武トラベル労働組合中央執行副委員長

■のざわ みのる


  交流団としてシカゴに到着し、時差ボケも残る翌日の5月31日に、イリノイ州ローリングメドウにあるアポロトラベルサービス本社を訪問した。初日から英語で、しかもコンピュータシステムの話を聞くことに一抹の不安があったのだが、アポロを中心としたCRS(コンピュータ・リザベーション・システム)は、観光労連が提言を行った「大胆な協業化」へのヒントを提示している感がある。
  アポロシステムをはじめとしたアメリカのCRSは、大陸を移動するため不可欠なエアーの予約・発券業務を中心に、多くのフライトをいかに効率よく販売するかを目的にキャリア主導で開発された。しかしその後、運賃を中心とした規制緩和(デレグ)により、各航空会社は激しい競争に追い込まれ、そこでこれらシステムに様々な付加価値をつけることにより、いかに顧客にメリットを与えるかが求められるようになった。これが現在のアポロシステムなどのトータル的な機能をもつCRSのスタートである。
  こうしたトータル的な機能をもつアポロシステムの概要や旅行業界との関わりなどについて紹介すると、現在のアポロは全世界のうち約550社の航空会社や約30,000軒のホテル、そして48社のレンタカー会社やクルーズ、そしてツアー関連会社などの在庫情報を提供している。そしてそれぞれのベンダーの特色や付加された最新情報も入力され、それらを活用して、顧客ニーズにあわせたキャリアやホテルなどをチョイスし、予約・照会できる機能をもつ。旅行会社やキャリアのそれぞれのシステムが別々の機能をもち、相互接続していないことが基本の日本の業界システムとアポロの求めるものとでは根本的な違いがある。
  アポロシステムをはじめとするこれらCRSは、自社端末に自社の集めたモノや情報を入力し、自社内のルートのみで販売しようとする日本のシステムと明らかに違う。
  自社端末に自社の集めたモノや情報を入力し、自社内のルートのみで販売しようとする日本のシステムに対し、アポロをはじめととしたアメリカのCRSの基本は「オープンシステム」の構築により業界に関わるすべての情報をできるだけ多くの旅行会社やキャリアなどから集め、それぞれ各社のシステムの独自性を保ちながら、いかに効率的に付加価値を生み出していくかという点にある。閉鎖された空間での情報を多く抱え込みバラバラに提供するよりは、すべてのかべをなくし、顧客のニーズにあわせた最新情報を多面的、かつ効率的に活用しようという考えだ。
  このことはこうした端末機一台あれば、たとえ小さな旅行会社、いや個人でも提供される情報量では大手旅行会社と同等という状況を生み出すのである。
  最後の紹介で大変申し訳ないが、アポロトラベルサービス社長のポール・ブラックニ―氏が語った「旅行会社、航空会社、ホテルなどは情報社会のなかですべてがビジネスパートナー」の言葉どおり、旅行業界は個人でも世界の情報を受けられるこの時代、今後相互協力と発展をめざし、そろそろ自社だけのカラを取り払う時代ではないだろうか。

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