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DATUMS 1996.11
ユニオン・ネットの電脳小作戦―双方向メディアで社会発信を

高井 晃  労働組合東京ユニオン書記長

■たかい あきら
 1947年生まれ。男。早稲田大学政治経済学部中退後、中小企業での個人加盟労働組合作りに従事し、79年に東京ユニオン設立に参加。93年からコミュニティ・ユニオン全国ネットワーク事務局長を兼任。外国人労働者問題、派遣労働問題などにもとりくむ。編共著書に「あなたの街の外国人」「派遣スタツフ読本」「ユニオン・にんげん・ネットワーク」「大震災でクビをきられた」等がある。


なんでもありのユニオン・さまざまな組合員
  私たちのユニオンは、コミュニティ・ユニオンと呼ばれている。いろいろな要素が混在している「ごった煮」のような組合である。「誰でも入れる・一人でも入れる組合です。」「なんでもありです。」と言い続けてきた関係上、じつにさまざまな職種の人たちが、さまざまな関わり方をしている。
  900人足らずの組合員だが、労働条件の交渉で職場単位で加盟している人たち(企業支部)、派遣労働、日本語教育労働者など「職種」「働き方」で集っている人たち(ブロック)、地域のコミュニティとして御近所づきあいも含めて集まっている人たち、さらに職場での解雇トラブルなどでユニオンに相談し加入してきた人たち、まったくの個人としてまさに「クラブ」のようにユニオンメンバーになっている人たちといったように、ひとくくりにはできない組合員の存在形態である。

◆組合員の交流ツールとしてパソコン通信を使う
  多岐にわたる立場の組合員、しかも個人加盟でバラバラに参加している組合員との「絆」をどのようにもつか、ということは大きな永遠のテーマである。94年秋から試行錯誤的にパソコン通信(NIFTY-SERVE)をつかって「ホームパーティ」を開設した。組合行事の情報、それぞれの近況などを「おしゃべり」しあう「電脳掲示板」ということだが
 1)書き込みたいとおもえば可能
 2)リアルタイムで情報伝達
 3)自分がみたいときに開ければいい(電話やファクスのような“暴力性”がない)
などのよさがある。パソコン通信をはじめた効果で、いままでなら離脱したかもしれないメンバーと確実につながっているという実感はある。

◆社会にひらかれた相談活動――通信によるデータ入手
  ユニオン活動の大きな柱が「相談活動」である。「労働力流動化時代の権利闘争の新たな形態」として力を注いでいる。 相談活動においてパソコン通信で対象企業のデータを検索できることは極めて大きな力を発揮する。いままでなら一日仕事で企業の登記簿をとりに行ったりしたものだったが、その数倍ものデータが3分で入手できる

◆労働運動も社会に発信を
  私も参加する「派遣労働ネットワーク」(弁護士・労組・個人で構成する派遣労働者の権利擁護運動 代表中野麻美弁護士)では、ホームパーティを開設し労働相談を受け付けたり、アンケートに使ったりといち早く「ひらかれた」活用をしてきた。
  今年の「第6回派遣トラブルホットライン」ではインターネットにホームページを開設しホットラインの受付、結果報告をリアルタイムで行なってきた。そしてさらに「トラブルをおこしている派遣会社一覧」なども掲載しはじめている。これは、情報公開型の運動として社会的に労働運動の領域を広げていこうという試みでもある。
  労働者、市民の側からささまざまな情報を発信し企業の横暴を規制していく、さらに労働市場の入口「就職」に関して労働者・市民サイドの情報発信と交換をしていくことによって企業や政府に対する社会的規制の可能性を求めていくこともできるだろう。パソコン通信のひろがりは労働運動の「社会化」を手助けする。問題は、労働運動の側がどのように「市民社会」にアプローチしていこうとするか、である。

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