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DATUMS 1996.02
介護に関する意識の日米比較

国際長寿センター

■こくさいちょうじゅせんたー
 1990年11月発足。高齢化問題を日米で協力しつつ、解決することを目的とする団体。具体的には、日米の共同研究を中心にした調査研究を行ない、その結果を広く社会に広め、高齢化に対する正しい認識を育成すること、ひいては政策に反映されるような提言を行なうことなどをその目的としている。

  人口の高齢化が急速に進む日米両国では、老人医療費の増大と介護問題は、早急に対応を迫られている重要課題の一つである。当センターでは、1994年に日米両国の18歳以上の男女を対象に「価値観とその継承に関するアンケート調査」を実施した。ここでは調査結果の中から特に、介護に関する意識の日米比較を簡単に紹介したい。
  介護に関しては「親が老後をむかえ、体が不自由になって身の回りの世話ができなくなった場合、子どもは身の回りの世話をすべきだと思いますか」と質問し、三つの選択肢の中から回答してもらった。日米両国とも9割以上が何らかの形で世話をすべきだと考えている。しかし、日本では「あまり負担にならない範囲で」(67.9%)との考えが主流であるのに対し、米国では「自分の生活を多少犠牲にしても」(52.5%)親の介護をすべきだとの意見が強い。この質問は一般論として尋ねられているが、日本より米国の方が子どもの義務感、責任感が強いようだ。
  では現実に親の介護が必要となった時、子どもは実際に介護を行っているのであろうか。回答者の中で現在および過去に親の介護を必要とした経験をもつ者(日本40%、米国28%)に対し、「その時、誰が主に面倒をみたか」と質問した結果、日本では兄弟・姉妹等の「親族」が46%でもっとも多く、「自身」と「配偶者」がこれに次ぐ。老人ホーム等の施設介護は5%以下である。米国では、父親の場合は「本人の配偶者」「老人ホーム、老人病院」の比率が高く、母親の場合は「自身」「親族」「老人ホーム、老人病院」が主である。
  介護の実状に関しては、日米で二つの相違がみられる。第一には日本では老人ホーム等の施設利用が非常に少なく、9割以上が在宅介護である。「負担にならない範囲で」と言いながらも、長期療養型施設の整備が不十分なことと、伝統的な在宅介護重視のため、親の介護が現実になった時には子どもが在宅介護を担っている。第二は介護が主として女性によって担われる構造は日米とも共通であるが、日本では介護における「嫁」の役割が大きい。米国では配偶者が介護者となることはきわめて少ない。親の土地や家を長男が相続しその見返りに面倒をみるという日本的構造が存在する。
  医療技術の進歩により介護期間も長期化し、女性の社会進出とも相まって子どもによる在宅介護にも限界がある。高齢者社会に向けての政府に対する要望では、在宅介護への支援が日米ともに第3位にあげられ、介護の社会化を望む声は日米で共通している。

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