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DATUMS 1996.04
アウターのためのタウン情報誌

添田 俊雄  (株)タウン情報ネットワーク事務局長

■そえだ としお


  「タウン情報誌」というと商店街のパンフレットを集めた感じのミニコミ誌か、その地区の俳句や将棋の名人などを集めた同人誌的なものを連想される方が多いと思うが、我々がネットワークしている全国27都市の「タウン情報誌」はページ200ページを越え、広告も“たっぷり”入った雑誌である。その町に住む人たちが、より楽しく、有意義に知的に暮らせるようにという視点で集められた情報が掲載されている。その町で行われるコンサートのスケジュールや映画の上演予定、演劇、スポーツ等のいわゆる数字をベースにしたデータ情報と、新規開店の飲食店、何々交差点にある交番のおじさんの取材記事、ディスコのパーティの様子等いわゆる町のネタ、と大別すると二つの情報のタイプに集約される。
  だから乱暴な言い方をするとその土地の人(他の土地の人が見てもなにが何だか分からない)が愛想良く笑っている写真や、お店のマスターとその従業員が記念写真よろしく集合写真状態でおさまっているのがやたら多いのだ。その町に住んでいる人の為の本であるから当然よその人が読んでもあまり役にはたたないものである。
  でも、でもである。 その土地を訪れた旅行者はかなりの頻度で「タウン情報誌」を買う、そしてはたと気付くのである。目指すおいしい店の紹介(たまたま特集等で出会う事があるが)や観光名所の紹介などが全然載っていないと。旅行者にはやっぱり普通のガイドブックがピッタリなのである。こういう結論で終われば、ああ、そうか、で終わるのだが、またまた、「でも、でも」があるのだ。最近の旅行者はそれを知っていて買うのである。片手にはオーソドックスな旅行ガイドブック、もう一方にはタウン情報誌という具合に。 近頃の旅慣れた旅行者は、普通の名所旧跡には飽きていて、その町の路地裏をのぞいたり、町の常連さんが行くようなお店を探していったりする傾向にある。いわゆるその町の匂いを感じたり、雰囲気を感じたりしたいわけだ。極端な話になると見知らぬ土地でパーマをかけたり、サウナに入ったり、名も知らぬ喫茶店に入ったりということもする。そこで地方の方言を聞いたり、高校生の制服のデザインをみたいと今まで自分が住んでいた地域の日常性ではなく異国?の日常性を体験したがっているのだ。
  そこでタウン情報誌。どっかの喫茶店やイタ飯屋の広告、カットハウスのマネージャー顔写真…その町の匂いがぷんぷんである。ひと昔まえの『地球の歩き方』の売れた時期に似ていると思う。私自身、タウン情報誌と旅行者のニーズは必ずマッチングしているとは思えないが、そんな風に旅行者の旅の形が確実に変わって来ているのは事実で、それの前兆として、団体旅行ではなくグループ旅行、そして自分で作る旅、自分で予約する旅と、どんどん変化していく旅がある。そしてその延長線上に、このタウン情報誌とアウターの一見無謀とも思えるマッチングがあるのだ。

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