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DATUMS 1996.04
外人たちの正しいウィークエンドの過ごし方

スーザン・ミリントン  フリーランス・ライター

■Susan Millington
 1944年米国ケンタッキー州生まれ。ウェルズリー大学卒。在日英国大使館に赴任した夫とともに69年に来日し76年まで滞在。ソニーで盛田昭夫、井深大氏など、経営陣の英語秘書を勤める。今回の滞在には3回目で、91年から。著書に『Nihongo Pera! Pera!(日本語ぺら!ぺら!:日本語擬声語への招待)』等


  ビッグミカン(注1)で過ごす、週末のプランはどうしよう?他のガイジンたちは何をしてるんだろう?『Tokyo Weekender』(注2)がおススメです。編集人コーキーのお薦めイベントをチェックしたり、かの六本木の奇人変人有名人ビル・ハージーのコラムに登場する人達の動向を探ってみるのがよろしいかも。
  どこで手に入るのかって?地下鉄広尾駅、有栖川公園向かいのスーパー、ナショナルに行けば置いてある。無料です。知人はたいてい週末一度はここでショッピング。だって、なんと言っても食べ物って大切で、ここではお国の味が手に入る。
  レジの行列で、ちょっと列を離れて買い忘れそうになったレモンシャーベットを求めて冷凍庫方面に手を伸ばす私。「どうぞごゆっくり」後ろの眼鏡の青年が言う。「いや、ここにいるときだけはのんびりできて。うちでは、ワイフが双子の子どもの世話をしてるんです。で、なるだけゆっくりと買い物をすることにしてるんですよ」しゃべりつつも、彼の目はこのフリーペーパーに吸い寄せられたままだ。
  「語学的に障害のある」(注3)トーキョー人だちがTokyo Weekenderを求めているのは、最近ははやりのレストランとや人気のナイトスポットだけじゃない。歯痛?英語を話す歯医者の情報アリ。家やアパートを探しているのに近所の不動産やは不親切?そんなときには、外国人OKのマンション空き室情報もアリ。学齢期に達した愛息愚息の行く学校?ここにはときおり学校でさえ広告を出すのです。
  なんといっても、われわれガイジンにとって、東京に生息する非-日本人の仲間たちがどんな顔をして何を考えているのかを知ることができるのが、Tokyo Weekender の最大の魅力。ティーンエイジャーたちは、クラスメ―トの禁じられた街六本木レポートを血眼で探す。そして、実にうれしそうに親に報告するのだ。「あいつったら、レキシントン・クイーン(注4)に行ってて、知らないうちに写真とられて、それがTokyo Weekender に載っちゃてさ、学校、停学になったんだよ」。「編集者への手紙」コラムでは、昔載った手紙について延々と議論が続く。ビル・ハージーの「Partyline」には、日本を離れる界隈の有名ガイジンに対するSad Sayonara(悲しいサヨナラ)のコーナーが。これをみるとみんな思い出す。人生の一時期わが街としたトーキョー…このまちをきっといつかは自分も離れていくことを。
  トーキョー、今私たちが住む街。でもどこかで、いつでも他からやってきた旅人、旅行者であることを忘れさせないまち。Tokyo Weekender は、その私たちにコミュニティーの感覚を与えてくれる。故郷の家から遠く離れた、もう一つのふるさとの地元新聞。この魅惑的な国へと開かれた窓、そして、多くの新しい経験へのドア。 (原文英語)

(注1)ビッグミカン―ニューヨークのビッグアップルに対して、Tokyo Weekender誌上で、ビル・ハ−ジーが東京をこう呼ぶ。知る人ぞ知る通の東京別名。
(注2)Tokyo Weekender―2週間に一度発刊。フリーペーパー。
(注3)「語学的に障害のある」―最近はやりの政治的に正しい言葉遣いで、日本語を読めない、話せないということ。
(注4)レキシントン・クイーン―ビル・ハージーが経営するディスコ。外タレも必ず訪れるという知る人ぞ知る六本木ナイトスポット。

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