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DATUMS 1996.05
まちづくり、NPO、大学

卯月 盛夫  早稲田大学教授

■うづき もりお
 1953年東京生まれ。早稲田大学理工学部建築学科大学院修士課程終了、ドイツ・シュツッツガルト大学大学院留学。その間ハノーバー市、シュツッツガルト市都市計画局に勤務。1982年世田谷区都市デザイン室、1992年世田谷区まちづくりセンター所長。1955年から現職。(所属:専門学校)。専門は、建築、都市デザイン、まちづくり他。主な著書に「景観行政のすすめ」「パブリックアメニティ」「快適興境社会の形成」など。


  昨年4月、13年間お世話になった世田谷区役所を退職し、早稲田大学に勤めることになった。かつて早稲田で建築を勉強し、その後ドイツで都市デザインを学んだ結論として、まちづくりをするには市町村に勤めるしかないと思っていた私の決断であった。しかし以前から、まちづくりの分野では大学の教育や研究レベルはかなり遅れていると思っていたため、この機会に新しい挑戦をしてみようかというふうに実は心境が変化したのである。 さて早稲田では4年前に、OBが早稲田都市計画フォーラムという任意団体を作り、大学に寄付をし、「現代都市・地域論」という寄付講座を開設した。これは早稲田の全学部の学生を対象に、都市・地域に関する学際的な講義と演習を行うもので、大好評のうちに本年3月、当初の予定通り3年間のプログラムを終了した。
  私はこの演習を担当していたので、早速このプログラムを拡大発展させて、社会人を対象に夜間の講座を開設することを提案した。結局これが、「参加のまちづくり」コース(前期)、「都市デザイン」コース(後期)となり、1996年4月から週2日でスタートしている。「参加のまちづくり」は、参加型まちづくりの事例紹介と、参加を保証する制度や仕組みの研究を行う講義(火曜日)、それから実際に、参加型のワークショップを行うための実践的な手法や技術の演習(金曜日)によって構成されている。当初30名程度を予定していたが、実際はそれをはるかに上回る61名の受講生となった。職業は地方議会議員3名、国都県市の公務員10名、公益法人職員5名の他、コンサルタント、設計事務所、建設会社、教職員等の社会人34名、そして現役の学生9名と大変幅広く、年齢も19歳から55歳までとなっている。また61名のうち21名が女性で、そのうち11名が20代であり、若い女性の意欲が大きい。さらに仙台、日立、宇都宮、石和、静岡から通う社会人もおり、その熱心さには頭が下がる。
  行政、議会はもちろん、コンサルタントやNPOにおける「まちづくりの専門家」は、今後の市民主体のまちづくりを進める上で絶対に欠かせない。さて、この新しい職能の育成を大学が狙えるかどうか、乞うご期待である。
  その他隠れた生活文化の担い手に日をあてる「生活文化賞」、手賀沼浄化支援の「環境ルネッサンス」、地域福祉グループとの情報交換機能としての「ビッグ・バン」などの事業も地域社会から評価されている。さらにセンターの運営にあたり、活動のマンネリ化、惰性的傾向を防ぎ、絶えず新鮮な機能として社会に広く受け入れられる、高い評価を維持するために、大学の情報だけでなく、センターの事業活動の受け手である地域社会の主婦や一般学生を「アドバイザー」として参画させている点もセンターの特徴である。
  今後は出版活動、ボランティア支援、ヘルパー養成講座などを充実させる予定である。

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