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DATUMS 1996.07
いまも元気だ!紙芝居

菊池 好江  紙芝居グループ“ひょうしぎ”

■きくち よしえ
 紙芝居を演じるグループ“ひょうしぎ”に所属。“ひょうしぎ”の紙芝居公演の他、保育園、幼稚園、文庫等で紙芝居を演じる。また、親子読書会で子どもたち、お母さんたちと絵本、児童文学を読む。著書に『みて!きいて!わくわくするよ紙芝居』(学事出版)。月刊雑誌「子どものしあわせ」(草土文化)に紙芝居の作品紹介を連載中。


  私の所属する“ひょうしぎ”というグループは、毎月第一と第二日曜日にショッピングセンターの食堂街で紙芝居の公演を行なっています。6月の第一日曜日、いつものように3本の紙芝居作品を組み合わせての公演が終わった時のことです。マットに座って観ている子どもたちを囲むようにして、立っていた大人の方たちから拍手がありました。もう10年ほども続いている公演で、それは初めてのことでした。「これで紙芝居はおしまいです。みなさん、さようなら」と締めくくる時には、たいてい親も子も帰ることに気が向いていて、ザワザワとしているのですが、この日はちょっと違っていたようでした。
  紙芝居の公演は、子どもたちが楽しんでくれることをまず第一に考えますが、親ごさんにもぜひご一緒にとすすめます。なにしろお買い物優先で「お母さん30分で戻るからここで紙芝居観てなさい。」というお母さん、多いのです。「30分の時間、お子さんと一緒に観ていきませんか。そのほうがお子さんも安心して楽しむことができると思いますよ。」「いえ、なによりお母さんご自身が紙芝居の世界を楽しんではいかがですか。」こんなことを思いながら続けてきたせいでしょうか、このところ、大人の観客もじわじわと増えてきました。お疲れで休憩、紙芝居はついでに観ているというお父さんもいらっしゃるかもしれませんが。
  大人がしっかりと楽しんでいると、自然に会場の雰囲気が変わってきます。私が毎週水曜日にうかがう文庫でも、子どもたちよりむしろ大人のほうが、おはなしの世界のおもしろさを充分に味わいながら豊かな時間を過ごしています。子どものために、なんてことをふりかざすわけでなく、大人自らが語りや絵本、紙芝居にふれることを楽しんでいるのです。おはなしを聞くのは心地よいのです。この心地よさは、やはり生身の人と人とのふれあいがあるからこそ生まれるものではないかと思います。ぬくもりと言ってもいいのではないでしょうか。それは、どんなにテレビゲームがおもしろくても味わうことのできないものではないかと思うのです。
  拍子木をたたき、紙芝居が始まると、さっきまであんなに騒いでいた子どもたちが、不思議なくらいシーンとして観てくれます。なかよしのお友だちと、お父さんやお母さんと、園の先生とくっつき合って、それはそれは嬉しそうに観てくれます。そして、演じる私も嬉しくなるのです。

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