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DATUMS 1996.07
滋賀県長浜発―「カルチャーカード」の国際効果

清水 義康  社団法人長浜観光協会事務局

■しみず よしやす


  ヨーロッパに「カルチャーカード」という制度があるそうだ。日本ではまだどこも導入していないが、長浜に取り入れられないだろうか----1993年の暮れも押しつまり、翌年度の事業を検討しているとき、思いがけぬ提案が出てきた。郷土芸能の米国公演を終えたばかりで、少々外国かぶれのスタッフ一同。「何のこっちゃ」と困惑しながらも、横文字の事業に興味を示さないはずはなかった。
  カルチャーカードとは何ぞや。さっそく、研究に取りかかる。運輸省の外郭団体である国際観光振興会が数年前から国内導入を研究してきたもので、同会資料に「カードを購入すると、制度に加盟している劇場・美術館・博物館等へ、優先的に割り引き入場の特典が与えられる制度」と記されている。オランダ生まれのこの制度は、今では「レジャーカード」と呼ばれ、ヨーロッパを中心に世界各国に広く取り入れられているとのことだった。同時に、国内では導入を検討しながら頓挫した地域があることもわかり「いっちょうやったろか」という長浜人特有のパワーが職場に満ちあふれた。
  1994年「カルチャーカード」なる言葉がアメーバのように周辺地域に広がった。「湖北地域には日本の原風景とも言うべき豊かな自然、連綿と続く香り高い独自の歴史文化が息づいている。小さくてもキラリと光る新しい国際観光地を目指そう。」との気運が急速に盛り上がる。今までの地域づくり活動のネットワークは、ホテル、旅館、レストラン、土産品店などの民間施設に「乗り遅れたらアカン」との賛同の声を次々に上げさせた。
  こうして、1995年6月2日、1年余の準備期間で長浜カルチャーカード制度はスタートした。成田と大阪の両国際空港、東京と京都の国際振興会窓口など8ヶ所で無料配布を始めた。カードを提示した外国人観光客は、加盟の約100店舗で特典が享受できる。ホテルや旅館の宿泊施設は2割引、レンタサイクルは半額。土産物も安く買える仕組みである。無料で入館できる公共の資料館もある。しかし、国際的な「NAGAHAMA」の知名度は限りなく皆無に近い。利用者もまだまだ少なく「これから」といった状態である。PRにもっと力を入れなければならないのは事実だ。
  ただし、利用者の多少だけでなく、地域への効果は少なくない。街角のサインやパンフレットの文字表記、国際的視点での地域の見直しなど、新たな国際観光への夢と体制は着実にふくらんでいる。思いがけない効果もあった。マスコミによるPRという二次効果は当初から期待していたとはいうものの、これほどまでに多くの媒体に取り上げられるとは思ってもみなかった。視察も随分お受けした。やはり「日本初」の力は大きいと実感した次第である。
  ほんのちっぽけな地方都市の試みだが、各地での制度導入と国レベルでの施策への契機となることを願うばかりである。

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