[BACK]
DATUMS 1996.09
日中交流の新展開

張 紀潯  城西大学経済学部助教授

■ちょう きじん
 中国江西省生まれ。1976年中国対外経済貿易大学卒業後、教員となる。文革後初の政府派遣留学生として大阪外国語大学に留学。帰国後、対外経済貿易大学日語教研室副室長、講師を経て、85年に再来日。90年東京経済大学大学院博士課程終了後、茨城大学専任講師、助教授を経て93年より現職。日中両国の掛橋を目指し、92年?95年在日中国人研究者団体・中国社会科学研究会代表。現在、日中経済発展センター理事長。


  日中交流はいま新しい転換期を迎えている。この新しい転換期の日中交流の特徴として「持続的交流の拡大と相互理解が必要」だということが挙げられる。 
  持続的交流の拡大が日中貿易と対中投資規模から窺われる。今年上半期の日中貿易総額は2兆9753億円で前年同期比、26.19%増となった。日本の対中輸出が1兆324億円 (同15.4%増)、対中輸入が1兆9429億円 (同32.6%増) で、日本の9105億円の入超、昨年同期の対中貿易赤字の5704億円を大きく上回った。日本全体の貿易収支は3兆111億円の黒字だが、数少ない入超国の中で中国は95年に続きトップとなっている(大蔵省通関速報)。
  日本企業の対中投資も止ることを知らず広がる一方である。大蔵省が 6 月10日に発表した95年度の対中直接投資実績によれば、日本の中国への投資は770件、4319億円で、これはアジアで第1位、全世界でも94年度と同様にアメリカに次ぐ第2位、前年度に比べて件数では、21.1%倍、金額では、61%増という大幅な伸びとなっている。これらの数値から分かるように中国が日本にとって名実ともにアメリカに次ぐ第2位の貿易及び投資相手国である。経済交流の量的拡大と比べて両国の相互理解が必ずしも進展しているとはいえない。中国の核実験反対で日本の対中無償援助は今年も凍結したままとなっている。また「対中投資ブーム」が続く中で労働争議をはじめ、増値税の問題などトラブルが噴出し、対中ビジネスのリスクがむしろ増大している。
  こうした状況の中で日中両国の相互理解が以前と比べて、必要かつ重要なことである。「日中両国民間の相互理解を深め、両国の友好関係の増進に寄与する」ことを目的に私は日中両国の専門家たちのご協力を得て95年、日中経済発展センターを設置した。
  当センターの運営は日中友好交流を志す両国の研究者、専門家によって行われている。具体的には定例研究会、講演会を含めた交流会の開催、新聞協力紙の発行、中国訪問団の受け入れなどの活動を通じて人的交流と相互理解を促し、両国間の不要な誤解を防ぎ、より効果的な新しい形の日中交流を目指している。95年には短期訪日の中国人専門家によるタイムリーなテーマの定例研究会を4回、他の機関との協力で地域別セミナーや特定テーマ講演会を7回開催。また阪神大震災の被災者救援のために在日中国芸術家チャリティー公演を日比谷公会堂、浦和市文化センターで行った。
  96年の4月18日に陳景新中国税務総局元局長代理を招いての「中国の税制改革と外資系企業」と題するセミナーに 160人も出席したことは当センターに対する各界の期待と評価を表している。センターの活動は常務理事一同の協力によって支えられており、日中両国の相互理解も、こうした地道な努力によってのみ深められるものと思う。
  今後も決して利に走ることを避け、当初の目的を忘れず、従来通りにボランティア精神を基礎とした着実な活動の積み重ねによって日中経済発展の21世紀への展望を切り開いていきたい。

●日中経済発展センター:会員 120人で発足。学術交流、セミナー、日中ビジネス機関紙の発行などを通じて経済交流を促進。問い合せは事務局=東京都千代田区神田神保町2-20、名著刊行会内、電話/FAX=03-3234-0663

[BACK]