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DATUMS 1996.09
温泉人(オフロウド)流、温泉の楽しみ方

鈴木 和夫  NEC勤務

■すずき かずお
 山形市生まれ。子供のころ祖母に連れられ温泉に親しみ、学校の生物クラブに属し自然に親しむ。大学時代を過ごした宮城県多賀城で、浜をバイクで走っては夜光虫の神秘的な光に感動し「自然に積極的に親しむ人生を送りたい」と心に誓う。日本オート・キャンプ協会所属。ビバ!キャンパー・クラブ会長。


  子供が生まれて以来、ほとんど毎週のように温泉にでかけ、今までに数百回、200カ所は超えています。多くの人と知り合うために無線の趣味を追加し、まさに温泉、無線、キャンプの楽しみが融合した今の状況が出来上がっているのです。自称“温泉人”(オフロウド)としゃれながら、温泉を中心に自然と人との出会いを楽しんでいるわけです。
  生活の一部となるよう常日ごろから心掛けていることですが、まず「月曜から金曜までは情報収集とイメージづくりの時間」とし、通勤電車の中で、雑誌などから得た情報を暇を見つけては地図上に一元化していきます。最近は無線を通じての仲間も増え、自宅の居間の日本地図上に、入った温泉を黒と赤の丸印でマークし、利用したキャンプ場を青の三角マークで塗り潰し、さらに無線でつながった市や町ごとにアンダーラインをひき、それらを一望できるようにしています。
  最近は本屋で見るなにげない雑誌にも安い料金で入れる温泉が掲載されるようになってきましたが、数年前までは温泉に関する情報が少なく、入浴だけの利用ができる場所を捜すのは大変でした(その分、隠れ家としての貴重な宝物でしたが)。集めた情報を行動に役立つ情報、つまりインテリジェントに仕上げていくことがじょうずに楽しむコツといえます。毎日ながれているインフォメーション(素情報)のままでは「よし、やってみよう」といった行動にまでつながらないものです。温泉情報を集めるには、雑誌、新聞、テレビなど公共の情報はもとより、無線や温泉の湯船で出会った人との温泉談義を大切にし、休日に行動をおこすためのインテリジェントにまで高めるよう、試行錯誤しながら工夫を心掛けています。もちろん楽しみながらですが‥‥‥。
  次に「休日には、現地、現物、現体験を基本に、積極的に自然の中に居る」ようにしています。日本の宝、地球の宝である温泉をキャッチして歩く、まさに「なにごとのおわしますかは知らねども、かたじけなさに涙あふるる。」といった気配を楽しみに出かけて行くのです。
  私と温泉との関わり方として「いろいろな人と直接に出会う場」「自然と直接に肌で接する場」という捉え方があります。その土地の風土、歴史、方言、風習といった、いわば民俗学とでもいうべきものへの興味をそそられ、人とのコミュニケーションを通して学ぶことがたくさんあります。そして、温泉そのものが地球上にはじめて姿を表したバージンウォーター(処女水)を含むものであり、自然との一体感を味わう絶好の場であると思うのです。我が家流のこれらの温泉の楽しみ方のおかげで、心身のリフレッシュと健康管理におおいに役立っているのは確かなようです。
  ヨーロッパの温泉地は療養の場として利用され、アメリカではリフレッシュの場として位置づけられキャンプ場と隣接しています。一方日本では、温泉とキャンプを一体にした場所は意外に少なく、キャンプと温泉の発達過程の違いもありますが、日本人の温泉との関わり合いも歴史とともに多様化してきています。温泉が上流階級のまつりごとに使われた時代。大衆に根付いた時代、戦闘のための重要な拠点として位置付けられた戦国時代、そして現代のクアハウスのように積極的に健康促進に役立てる利用法、ひなびた山懐で山水とともに秘湯を楽しむ方法、美人おかみとうまい料理に舌づつみといった様々な展開へと続いているのです。
  日本各地の温泉も、風土の違いによりそれぞれ雰囲気は違いますが、わが日本に生まれたことをつくづく有り難いと思っています。これからも温泉を地球の宝物として、大切に捉えていきたいと思います。

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