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DATUMS 1997.12
男らしさをつくる社会の仕組みや制度

中村 正  立命館大学助教授

■なかむら ただし
 1958年、三重県生まれ。大谷大学文学部助手を経て、現在立命館大学産業社会学部助教授。94年から1年間、カリフォルニア州立大学バークリー校客員研究員。ジェンダー・フリーな社会をめざす男のオルタナティブスペース「メンズセンター」世話人。ドーンセンター(大阪府男女共同社会づくり財団)運営委員。京都市市民活動懇談会、草津市女性政策委員会委員。編著書に『男たちの「私」さがし』『家族のゆくえ』他多数。
E-mail tnt01882@kic.ritsumei.ac.jp


  たとえば、企業、学校、軍隊のような組織は、男の生き方にとって、競争、所有、闘争という意味が大切だと教えます。また、相続や嫡出の原理を定める法によってつくられた家族制度は、男の暮らし方に大黒柱、世帯主という重たい責任をかぶせます。こうしたなかで、男は結婚して、妻子を養って一人前だという役割期待を、男も女も身につけていくのです。とうとう自殺過労死なんていう言葉も飛び交うようになってきました。
  また十代の男の子の仲間集団は、性的な一人前意識、攻撃性や自己顕示欲、他者に承認されたいという願望などと結びついた男らしさ像が、暴走行為、暴力、非行行動などに結びついていく危険性をもっています。
  こうしてみると、男女共同参画社会づくりにおいて、課題となるのは女性たちむけの政策ばかりではないことがわかります。男性たちも同じように、自由で自立的な暮らしをしたいと望んでいるのです。今の世の中、少々男性たちがくたびれてきています。そして、あまり元気がありません。

◇男らしさ像のゆらぎ 
  社会の変化は、男らしさ像のゆらぎをもたらしています。男やもめの孤独が不安な高齢男性。リストラが心配で老後生活へのソフトランディングが気になる中高年男性。仕事以外のライフワークが持ちたいと願う四十代。ピアスが似合いおしゃれで中性的な存在と化した若い男たち。家事や育児に参加する若いパパさんたち。男もいろいろあるということです。もちろん、病理にまみれる男たちも多くいます。青年男性の死亡の多くは交通事故。リスクの高い行動をとらせるのも、男らしさのなせるところでしょう。アルコール依存症はまだまだ男に多く、仕事依存症もそうです。そして家庭内暴力の加害者になるのも男です。そろそろ「男らしさのコスト」を考え、華やかで、表情豊かなフェミニンな意識を身につけて、男も自分らしくありたいと願うのです。

◇メンズ・リブの動き(誕生)
  揺らぐ男たちを支えようと思い、大阪に「メンズセンター・ジャパン」という市民グループを結成したのは95年の秋のことです。96年の秋には京都で、97年の秋には大阪で、男たちの自立宣言という願いをこめて、全国の関連するグループが集いフェスティバルを開催しました。第 1 回は200人、第2回400人の参加者でした。めざすところは、男の立場で考える男女平等(もちろん、男男平等も考えている)、そしてジェンダー・フリー(らしさに縛られない社会)です。わかりやすく言えば、「自分らしく」生きたいと願う男たちの井戸端会議のようです。もちろん、出版や講座、イベントをとおして情報発信もしています。世界的なネットワークも構築したいと考えています。
  男らしさが変わるということは、この社会の仕組みが大きく変わることを意味します。「メンズ・リブ草創期」、一緒に担いませんか。連絡は、電子メールで。

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