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DATUMS 1997.12
多様化する働く女性のライフスタイル

富原 淑子  マーケティング・リサーチャー

■とみはら よしこ
 1963年生まれ。東京女子大学心理学科卒業。民放で派遣社員として視聴率調査に携わって10年。主な仕事はトレンド分析や番組の市場調査。現在「TBS新・調査情報」に執筆中。


  安室奈美恵ちゃんの結婚は、30代の働く女性にすら衝撃を与えた。皆彼女がずいぶん早く結婚したと思っているようだが、それは年齢の上だけのこと。既に彼女は5年も社会的キャリアを積み、何億も稼ぎ出しているのだ。高校でたての女の子がハタチ20歳でいきなり結婚したのとはわけが違う。ホントに彼女が1年で復帰し、元のペースとはいかないまでも、芸能界の中で活躍し続けられるのかどうか、興味をもってみてみたい。
  女性の生き方の中で『早めにキャリアを築き、早めに子供を産んで、社会復帰する』という選択肢がどんどん一般化すれば、若い世代は私たちのように試行錯誤しなくてもすむのではないか、と思うからである。もちろん、15歳から第一線で活躍できるのはまれな例だとしても。
  ちなみに私の周りの女性たちは、大学を卒業して約12年。早々と専業主婦になった人たちは子供にそろそろ手がかからなくなり、今後の人生をどう生きるかを模索し始めている。逆に今まで仕事に全力疾走してきた女性たちは、最近になって産休を取ったりして子育てが始まったばかり。皆多かれ少なかれ悩みをかかえている状況だ。30代は体力的にも限界があるので、みんな口々に「もっと早く産めばよかった」。しかしさらに突っ込んで聞くと、「ある程度の実績は積まないと、産休は取りにくい。他に方法はなかった」とも言う。
  かつて私の適齢期には3高という言葉が流行っていた。(その後バブルが崩壊し、死語となったが。)確かに今の税制だと、ヘタに働くとダンナの扶養から外れてしまい控除が受けられなくなるし、年金だって自分で少しの給料稼ぐより、収入のいいオトコのオクサンをやってた方が、将来よっぽどたくさん貰えるのである。当時3高を求めた女性やその親たちはかなり非難を浴びていたが、これは日本の社会が求めるがまま女性が生きたひとつの結果。誰が文句を言えようか。
  小学校から道徳の時間などに「人はみな平等」とか「努力すれば必ずみててくれる人がいて報われる」などと教えられるが、そんなことは大ウソ。大人になったかつてのオンナの子は、自分自身でしか道を切り開けないことをみんな知っている。切り開き方が人によって違うだけだ。
 そんな中で今年は、ブランド品を欲しがる若い女の子たちの行動が以前にもましてクローズアップされた。けれども、お金でなんでも解決しようという考え方は、彼女たちが最初ではなかったはず。もっと上の世代から脈々と続いてきたものが形を成しただけだと思う。彼女たちは将来無理して働こうとは思わないのではないか。それから、今年は松田聖子さんちの離婚から始まって、離婚だの別居だのがやたら騒ぎ立てられた年でもあった。女性が離婚した場合、たちまち再就職の問題が起こってくるのは一般社会でも同じこと。今まで画面から離れていた女優さんが急に舞台の仕事を始めたりするのを見るにつけても、うかうかしていられないなと友人は言う。
  キャリアウーマンがシングルで子供を産む、という選択肢も現れてきたが、市民権を得るにはもう少し時間がかかりそうだし。こうしてみると97年は、将来さらに多様化するであろう女性のライフスタイルの問題点が一気に露見したようだ。ただし、受け入れる社会のほうの変化は緩慢。このギャップがどう埋まっていくか。それとも埋まらないままなのか。

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