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DATUMS 1997.04
節電は発電につながる

高柳 直哉  1%節電をすすめる浜松市民の会代表

■たかやなぎ なおや
 1963年浜松市生まれ。山口大学大学院修了。応用物理学(光情報処理)専攻。「1%節電をすすめる浜松市民の会」「大地の物語の会」などの代表。現在予備校講師。


  「1%節電をすすめる浜松市民の会」では
  ・市民の責任を明確にする。
  ・市民・行政・企業のコラボレイション(対等な協力関係)を築く
  ・一般市民が参加できる活動を目指す
  ・批判だけでなく提案も行う
  この4本を柱に活動しています。それまで、私自身新しい市民活動にあまり良いイメージは持っていませんでした。一部の市民だけが行っている活動、直接自分には関係ないことだと思っていました。しかし自分の回りをよく観察してみると、私たちの住む地域が実にいい加減な社会であるかを痛感し、自分の住む街や地域を良くしていきたいと考えるようになりました。しかし従来のように行政や企業と対立している市民活動にはどうしても抵抗感が残ります。そこで私たちの会では、今までとは一味違う活動の展開を目指しています。
  昨年11月に浜松市議会に対して節電に関する陳情書を提出しました。事前に浜松市の庁舎内で節電状況を調べた結果、市ではかなり節電に気を配っていることが解りました。この点を考慮し、市の施設での節電の継続と市民に対して節電の呼びかけを主旨とした陳情書を提出し、市議会で採択されました。
  毎年電気の需要が増加していることはよく知られており、そのため電力会社は、その需要を満たすために努力しています。私も毎日その電気の恩恵を受けていますが、無駄な電気は使わないようにしています。節電は経済的にメリットがあり、何よりも地球の環境負荷の軽減にもなるのです。無駄な電気を使わないことが、市民が果たすべき責任の一つであると思います。市民がその責任を果たさず、ただ原発反対といってもこれでは道理に合わないことです。
  今までの市民活動は対立や批判することがほとんどでしたが、環境の問題など危機的状況に直面している現在、従来の活動方法では対処できないところまできているのです。市民活動自体のあり方を考え直す時期が来ています。
  陳情書を作成する際に、会のメンバーからかなり強い反応がありました。陳情書の原案に対して、反原発を全面に出した内容にすべきとの強い意見が多く出されました。その背景には、浜岡町には現在4基の稼働中の原発があり、浜松からわずか40kmしか離れていないことが挙げられます。原発の現状を知る人ほど強い危機感をもっているのです。しかし陳情書を出せば原発が無くなるわけでもないことや、今までとは異なる対話重視の活動を目指していることなどを説明しました。会のメンバー全てが納得したわけではありませんが、市がノーと言えない内容にすることで、対話が始まることが期待でき、また日常生活の中で行える環境対策の啓蒙に役立つものと確信しています。
  現在浜松市とは話し合いを続けながら、市に次のような提案を行いました。
  (1) 市の職員は、かなり節電に積極的であったことから、市庁舎内での節電状況や具体的な方法を市民に知らせること。つまり市が率先して節電に取り組んでいることを知らせる。(2) 「節電は発電につながる」という意識を市民が持てるように積極的な広報活動を行うこと。
  これらを提案していますが、しかしなかなか反応がありません。組織の体制が整っていないことや、すでに十分節電の呼び掛けを行っているので必要ないなどを理由に挙げています。しかし切迫している環境破壊やエネルギー問題のことを考えると引き下がることはできません。将来的には家庭用の太陽光発電を市が補助するところまで活動を展開していきたい。少しでも確実に提案が具体化されるように粘り強く交渉していく予定です。

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