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DATUMS 1997.07
女の政治参加は“暮らし”と“理想”から

村田 恵子  ルポライター

■むらた けいこ
 1948年生まれ。ルポライター。主に看護雑誌に執筆。県内の女性市民団体にアンケートを送付してその活動状況を調べた『さいたま女のネットワーク』編集委員会代表。仕事の傍ら、地域で障害者の介助ボランティアから出発してあちこちに出没。今や仕事か市民活動かというまでに拡大してしまい、後悔先に立たず状態。


  飲み屋で地域政治の話をしていたら、ある男性は「政治はロマンだ」と言い、ある人は「道楽だ」と言うので、私だけでなく女にとって政治とは何なのだろうと思い、地域で知りあいになった女たちの顔を思い浮かべた。
  給食を自校方式からセンター方式にされて怒っている人。産業廃棄物処理場を目の前に建設されそうになった人。福祉サービスを始めたが、行政から無視されている人。保育所が少ないと思っている人。不登校の子どもを持った人。こういう人たちは問題解決の方法として政治をとらえている。
  また、私はこの4月に『さいたま女のネットワーク』(第一書林刊)という埼玉県内の120 の草の根女性グループの活動内容や会員数、連絡先などを紹介した本を仲間と4年かけて制作し出版したが、その中身は「34年間、農村の生活改善運動をやってきて、地域社会を支えているのは自分たちだという自負心はあるし、実際、行政からアテにされる。でも、土地の相続となると男になる」(都幾川村のグループ)。「女子大生の就職難や女性パートの切り捨てなど、不況になると女に甘え、女を踏みつけて乗り切ろうとする男性中心社会をなんとかしたい」(新座市)など、大きな矛盾に対する切実な気持ちを社会や政治にぶつけている。
  だからといって、政治を体験的にしかとらえていないのかというとそうでもない。両性が対等に、そしてどんな人の意見も尊重され、実現できる社会を夢見ているのが、制作のために集めたアンケート回答から読み取れる。その理想を求める欲求は男よりもすりきれていないのではないかと思う。この本の出版記念交流会を32の掲載団体が集まって行ったが、各団体のアピールの一言一言に女の暮らしと理想が交錯していた。
  イギリス労働党が 100人以上の女性議員を当選させて政権交代を果たしたり、フランス連立内閣に8人の女性閣僚登場というニュースを聞くと、これを支持しているイギリスやフランスの膨大な女の政治的意思を感じる。
  まだまだ日本では、“女の意思”は政治的に表現されつくしていないように思う。女性議員を増やすのも必要だが、それ以外の道筋でも政治的な意思や発言を発信していくことができるのではないだろうか。
  私は女の政治参加は“暮らし”と“理想”をふたまたにかけて行動することだと思う。暮らしからも理想からも現実を見て、変革する。確実にそんな女たちが埼玉に芽をだしていると思う。

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